ピアニスト、指揮者、社長、反田恭平が開く新境地 「クラシック音楽をビジネスとして成功させる」

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――来場を促す具体的な施策は?

今後やってみたいのが、サロン会員向けの割引やポイントサービス。日本に暮らす人はポイントをためるのが大好きだし、例えば映画だったら6回見ると1回無料のサービスがあったりする。けれどクラシックの世界では、そういうことをほぼやっていません。

最近知ったのですが、チケットが余っていたら当日券を安く売ってしまうコンサートもあるらしい。でも、それをやると、スーパーのお総菜の割引シールと同じで、お客さんは定価で買わなくなると思います。「当日まで待てば30%オフ」では、満席はつくれなくなる。

それより、聴けば聴くほどお得になる仕組みがいい。チケットの割引やコンサート1回無料、集めたポイントをCD、本、グッズに交換するのもありなんじゃないか。せっかくなのでお客さんがそこに通うのが楽しくなるようにと。

成長して応援してもらえる存在になりたい

――日本では、愛好家以外、クラシック音楽との距離がまだあるのではないでしょうか。

欧州では、タクシーの運転手さんがオペラを口ずさんでいたり、公園でオペラを楽しめたりとクラシックの生活への溶け込み方が違います。

自身初の自叙伝エッセイ『終止符のない人生』では、通常盤(手前)に加え、反田氏出演のコンサートでの販売用に会場限定特別版(奥)を用意した(写真は反田氏のツイッター@kyohei0901より)

まだまだ日本はクラシックに対して壁があると感じる。だからもっと僕たちが情報発信をし、知ってもらう機会を1つでも多くつくっていかなければいけない。出版もその一環です。本が話題になれば、僕やJNOに関心を持ってコンサートに来てくれる人が増えるかもしれない。

アイドルから学べることも多い。彼女ら、彼らのように「成長を応援してもらえる存在」に、クラシック音楽家もなれると思う。

JNOは、スポンサー企業・DMG森精機の創業地、奈良を拠点に活動しており、法人登記も奈良です。

奈良が「音楽の都」と呼ばれることは今はまだないけれど、これから僕たちが変えていきます。まずは地元に応援してもらえるよう努め、さらには全国、全世界から奈良に人を呼べる存在になりたい。「音楽の都・奈良」を、地元の皆さんと一緒につくります。

※8月上旬に本インタビューの第2弾を公開予定です。
山本 舞衣 『週刊東洋経済』編集者

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やまもと まい / Mai Yamamoto

早稲田大学商学部卒、2008年東洋経済新報社に入社し、データ編集、書籍編集、書店営業・プロモーションを経て、2020年4月育休を終え『週刊東洋経済』編集部に。「経済学者が読み解く現代社会のリアル」や書評の編集などを担当。

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