健康診断「空腹時血糖値が正常」でも安心できぬ訳 血圧、コレステロール、血糖値の数値の正しい見方
もう1つ、下の「Funagata Diabetes study」と書かれたグラフを見てください。これは、山形県舟形町の住民を対象に1990年代に行われた研究「舟形町研究」の結果です。
「IFG」と書かれているのは、「空腹時血糖異常」といって、糖尿病ではないけれど、その予備軍(境界型糖尿病)の人のうち、空腹時血糖値がやや高い人のこと。具体的には、空腹時血糖値が100~125㎎/dlの人のことです。
「IGT」は「耐糖能異常」のことで、先ほどの糖負荷試験2時間値が140~199㎎ /dlになる、食後高血糖を起こす人のことです。
空腹時血糖値だけではリスクは見える化できない
境界型糖尿病、いわゆる糖尿病予備軍の人たちには、空腹時血糖値が高めになるタイプ(空腹時血糖異常)と、食後高血糖を起こすタイプ(耐糖能異常)があり、多くのケースではその両方を合併しています。
空腹時血糖異常と耐糖能異常(食後高血糖)、どちらのリスクが高いかを比べたのが、舟形町研究です。1年、2年、3年……と年を追うごとに心疾患で亡くなる人がどのぐらい増えるのか(生存率がどのぐらい下がるのか)を7年後まで比べたところ、空腹時血糖異常の人は正常な人とほとんど変わりませんでした。
その一方で、耐糖能異常の人たちは、糖尿病の人ほどではないものの、正常な人に比べると明らかに生存率が下がっていたのです。
こうした結果からわかるのは、空腹時血糖値だけではリスクを見える化できないということ。空腹時血糖値が正常でも、食後高血糖(耐糖能異常)がないとは言えません。そのため、空腹時血糖値のみの検査では、リスクを見逃してしまう可能性があります。
その点、毎食後に血糖値が上がっていれば、血糖値の平均を表すHbA1cはやや高めになります。ですから、空腹時血糖値だけでは不十分で、ぜひHbA1cを測定してほしいのです。健診でHbA1cを測っていない人は、次回からはHbA1cが測定項目に入っている健診をぜひ選択してください。
記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら
印刷ページの表示はログインが必要です。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら
無料会員登録はこちら
ログインはこちら