健康診断「空腹時血糖値が正常」でも安心できぬ訳 血圧、コレステロール、血糖値の数値の正しい見方
では「低ければ低いほどリスクも下がるのだから、全員が、薬を使ってできる限り下げたほうがいいのか」というと、考えなければいけないのは、“その人が持っているリスク”です。
持っているリスクが大きければ、下げ幅も大きくなるので、薬を使って下げるメリットが大きくなります。でも、もともと「10年以内に心血管病を発症するリスクは0.5%ですよ」と言われている低リスクの人が、薬を使って3割リスクを下げても、0.5%のリスクが0.35%に下がるだけです。
「そのために、毎日、薬を飲みますか」というのは、まさにその人の選択次第です。
「空腹時血糖値」「HbA1c」とは何か
血圧、コレステロールに続いて、血糖のコントロールについて説明しましょう。血糖値にはいくつか種類があります。一般的にいちばん知られているのが、「空腹時血糖値」でしょう。空腹状態で測る血糖値のことで、健康診断でもおなじみです。
次に知られているのは「HbA1c (ヘモグロビンエーワンシー)」ですが、こちらは、非常に大事な指標であるものの、健康診断の種類によっては測定されません。
HbA1cで診ているのは、血中のヘモグロビン(酸素を運ぶ赤血球内のたんぱく質の1つ)のうち、ブドウ糖とくっついたヘモグロビンの割合を示したもの。血中にブドウ糖が増えるほど(血糖値が高いほど)、ブドウ糖と結合するヘモグロビンも増えるので、HbA1cは、ここ2、3か月の血糖値の平均を反映します。
検査でHbA1cが高かった方が「昨日食べすぎちゃって」「朝ご飯を食べてきちゃったので」とおっしゃることがありますが、HbA1cというのは血糖値の平均値を表しているのですから、直前の食事は関係ないのです。
次の表のとおり、空腹時血糖値が126㎎/dl以上、HbA1cが6.5%以上だと糖尿病と診断されます。
健診で測定されるのが、この空腹時血糖値とHbA1cですが、とくに意識してほしいのがHbA1cのほうです。なぜなら、HbA1cのほうが、リスク評価になるからです。糖尿病と診断されるのはHbA1c6.5%以上ですが、その手前の“やや高め”の段階から血管病の発症リスクは高まります。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら