健康診断「空腹時血糖値が正常」でも安心できぬ訳 血圧、コレステロール、血糖値の数値の正しい見方

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では、どのくらいになったらリスクが上がってくるのかというと、まず血圧の場合、上の血圧(収縮期血圧)が140㎜Hg以上、下の血圧(拡張期血圧)が90㎜Hg以上で、「高血圧」と診断されます(診察室で測る血圧の場合)。

ところが、心血管病のリスクはもっと低いところから上がってくるのです。上の血圧が115㎜Hg、下の血圧が75㎜Hgを超えたあたりから、心血管病による死亡率が上がりはじめることがわかっています。なおかつ、上の血圧が20、下の血圧が10上がるごとにリスクは2倍に増えていきます。

そのため、血圧の値は実は細かく分類されていて、正常な血圧も「正常血圧」「正常高値血圧」「高値血圧」の3段階に分かれています。

(外部配信先では図や画像を全部閲覧できない場合があります。その際は東洋経済オンライン内でお読みください)

これだけ細かく分類されているのは、上が20、下が10上がるごとに心血管病の死亡リスクが2倍に上がっていくというように、リスクが段階的に上がっていくことがわかっているからです。心血管病だけではなく、透析に至るような末期の腎不全のリスクも、上の血圧が10上がるにつれて、30%前後上がるとの報告(出所:Hypertension. 2003 Jun ;41(6):1341-1345.)もあります。

血圧を「見える化」してみると…

「血圧が10や20上がっただけで本当にそんなに変わるの?」と、不思議に思うかもしれません。そこで、なんとかそれを見える化できないかと思い、ちょっとした実験を行ってみました。

プラスチック手袋の中指の部分を切って2枚重ねにして、空気を入れて、血圧と同じぐらいの圧をかけてみたのです。115㎜Hg、135㎜Hg、155㎜Hg、175㎜Hgという圧をそれぞれかけたときに、どのぐらい膨らむのかを試してみたのが下の写真です。

どうでしょうか? 結構違いますよね。175㎜Hgまでいくと相当パンパンで、実は空気を入れる作業はかなり難航して、何度か割ってしまいました。もちろん血管はこのぐらいの圧にも耐えられる強さ、柔軟さをもっています。だから、「血圧が170もあったら、血管が耐えられなくなって裂さけるんじゃないか」などと不安になる必要はありません。体というのはよくできているのです。

私がこのビジュアルで伝えたかったのは、正常な血圧の人と比べると、血圧が高い人はこれだけの圧がかかっているんですよ、ということです。

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