「自己実現」という言葉になんだかもやっとする訳 コロナ禍で迷子になってしまっている人たちへ
岡本:まさにそのとおりで、「自己実現」のあり方が、特にコロナ禍を経て大きく変化したと思っています。
当社では、全国の地方自治体や金融機関と提携して、地元企業と人材を結びつける地域貢献副業プロジェクト「Skill Shift」を推進しています。応募する方の中には、大手コンサルティングファームの役員や、外資系メーカーのマーケターなど、推定年俸が数千万円から1億円という方も少なくありません。そんな方々が、日給2万5000円で、地方企業で働いているんです。
一例を挙げると、ある外資系企業に勤めている方は、富山県のバットメーカーの中期経営計画を策定する仕事をしています。かつてイチローや長嶋茂雄のオーダーメイドのバットを作っていた知る人ぞ知るメーカーで、その方もかつて学生時代に野球をしていたんです。
東松:憧れのバットメーカーの経営に携われるなんて、その方にとってはもう夢の仕事みたいな(笑)。
誰でも副業という形で自己実現ができる時代に
岡本:これまではビル・ゲイツやマーク・ザッカーバーグのような、一握りの大成功した人たちが慈善事業を通じて自己実現していた。そんな自己実現のハードルが高かった時代から、今では誰もが副業という形で思い思いの自己実現を叶えることができる。この新たな自己実現の形が、令和の時代に始まったんです。
この地域貢献副業プロジェクトを通じて、ごはんを食べるための「ライスワーク」と自己実現を叶える「ライフワーク」を両立させ、いつか一致させていく。そのようにイキイキと働いて自己実現を叶える人を日本中に増やして社会イノベーションを起こす――これが、僕たちが今取り組んでいることです。
東松:「自己実現のフィールドは身近にある」というのはすごくいいメッセージですね。それをわからずに多くの人が、自己実現をなんだかハードルの高いもの、尊いもののように錯覚してしまう。