「自己実現」という言葉になんだかもやっとする訳 コロナ禍で迷子になってしまっている人たちへ

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岡本:これまでは会社に属することで安心感を得られていたのが、気づいたら名だたる大企業でも45歳や50歳からの早期退職制度を設けたり、「45歳定年」を提唱する経営者も出てきたり。多くの人が、これまでの働き方や生き方を見つめ直して「自己実現」について考える機会に直面しているのかもしれません。

地方にこそ自己実現のフィールドがあると話すみらいワークスの岡本社長(撮影:今井 康一)

――でも、自己実現と言われても「自分には何もできない」と落ち込んでしまう人も多いのではないでしょうか。「自己実現は人々を抑圧する罠である」と警鐘を鳴らす有識者もいます。

岡本:自己実現が見つからずに傷ついてしまう人は、おそらく自分の置かれている現状を客観的に見つめられていないのではないでしょうか。

そこで問われるのは、「自責」に立つか「他責」に立つかということ。自責に立てる人は内省ができる人なんです。他責に立つ人は他人や環境のせいにして、現状を改善しようとしない。結果、理想とする状態とのギャップが大きくなってしまう。

自己実現はなんだか「意識高い」感じがしてしまう

東松:まったく同感です。それに自己実現という言葉って、なんだか「意識高い」感じがしますよね。岡本さんのように経営者として「日本を変えたい」と大きな志を持つことがイコール自己実現だ、という誤解が世の中にある。自己実現のハードルが高すぎるんです。

自己実現と言っても、「実現したいこと」の大きさは人それぞれでかまわない。例えば「結婚して子どもは2人ほしい」というのも立派な自己実現だと思うんです。「日本を変えたい」という志も「幸せな家庭を築きたい」という志も等しく認め、尊重し合える。まずそこの前提にみんなが立ったほうがいい。

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