ネイルサロン経営者3人が味わったこの2年の苦悶 売り上げ激減、時短、閉店を経て乗り越えてきた

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実は、コロナになってから「接客に関する指摘」が多く入っていた。

もともとサロンのリピーターは40代以上の富裕層が大半だったこともあり、接客を含め、スタッフの教育には、ほかのネイルサロンとは比べ物にならないほど膨大な時間をかけている。

しかし、坂下さんはこのコロナ禍で、「サービスに対する付加価値=接客」に対するお客様の要望や期待値がさらに上がっている、と感じていた。

「ご指摘いただいた後、当時新人だったスタッフの技術や接客を全部やり直しました。『サービスは人だ』という部分を徹底したんです。貴重なご意見だったと思っています」

また、サロンに来るのが途絶えてしまった顧客には1件1件お電話などでご連絡をし、コンタクトをとった。

「お客様の(ネイルを整える)習慣が変わってしまう前に、ご連絡をさせてもらいました。失礼のないように、きちんと配慮をしながら、です。この時期、美容系サロンの倒産が相次いでいたため、ご連絡をしたら『お店はどうなったかと心配していた』などと言ってくれるお客様もいらっしゃいましたね。ありがたかったです」

努力が功を奏し、4月の売り上げは前年度比4割ダウンでとどまった。しかし世の中では、美容系サロンは倒産が相次いでいた。このとき、坂下さんのところに、ちょうどある大阪のネイルサロンより「店を買ってほしい」と声がかかったのだ。検討し、立地や客層などを全部確認したのち、思い切って買収することにした。

大阪への進出と、都内2店舗の閉店を決断

「新しいことをどんどんやっていかないと、スタッフのやる気も気持ちも滞ってしまうので、それを打破する意図もありました。でも本当にバタバタで怒涛の日々でしたね」

2020年6月、大阪に進出。事業譲渡の契約を進め、スタッフ教育や研修などすべてがフルスピードで同時進行した。

「いちばん悩んだのは求人です。コロナ禍なので応募する側に不安があるのか、全然スタッフが集まらない。しかしサービスの質は絶対に落とせない。なるべく質を保ったまま効率よくスタッフ教育が行えるよう、養成の全カリキュラムの見直しを行いました」

さらには、思い切って閉店の決断もした。六本木店を2020年10月、霞が関ビル店を2021年3月に撤退することにしたのだ。

「霞が関ビル店などは三井不動産と直契約だったので、正直手放したくなかったです。でも、ここで損切りできないと、ゆくゆくはさらに厳しくなると考えたのです」

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