ネイルサロン経営者3人が味わったこの2年の苦悶 売り上げ激減、時短、閉店を経て乗り越えてきた

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2021年は年初から緊急事態宣言が出され、売り上げも1月からコロナ前の70%に落ち込んだ。それから3月は80%、7月は90%と徐々に回復し、12月には100%となった。しかし、この年は中途半端に売り上げが上がったため、コロナ助成金の適用外となり、赤字が続いてしまった。

2022年の現在、ようやくコロナ前の95~100%まで売り上げが回復した。今の施策としては、最新のデザインを取り入れるため、スタッフ1人につき毎月3つの新デザインを出し合ってもらっている。

「今回、コロナを通して気づいたことは、『リピーターが大事』ということでした。コロナ一時休業明けに需要が極端に冷え込んだとき、リピーターは来店数の60%でした。コロナ前は35~40%でしたので、割合は増えましたね。このことからも、さらにお客様に喜んでもらい、リピートしていただくための活動を強化していきたいと考えています」

利益ゼロ、苦しさのあまり経営塾に飛び込む

2人目は株式会社bte代表の星俊亮さん。星さんが展開する「ネイルサロンbiotope+(ビオトープ)」はフィルイン(ベース残しのジェルネイル技法)やフォルム形成(反り爪や下がり爪もキレイに仕上がる)を得意とし、自爪に負担の少ない施術を行っているサロン。都内と埼玉の2店舗を経営している。

「2020年は本当に大変でした。そのときはまだ銀座1丁目の1店舗のみで、お客様にできるだけ安い価格で施術を提供していたんです。プラスになるのがもともと厳しい状況だったのに、そこに新型コロナの感染拡大があって……。横のつながりの美容系サロンが軒並み休業し、『営業しているとダメ』みたいな雰囲気になって、うちも休業せざるをえなくなりました」

2020年3~4月は休業。5月以降は営業再開したものの、毎月赤字続きだった。

「コロナ助成金を申請しましたが、それではすべてを補えなかったため、自分の貯金を取り崩して経営していました。大変厳しかったです」

ちょうどその後、「新型コロナウイルス感染症特別貸付」の融資が通った。もし売り上げゼロでも10カ月はもつ計算だ。もともとあった銀座1丁目の店舗は契約の関係で立ち退きしなくてはならない状況だったため、そのコロナ融資を元に、2店舗目を計画。

2020年10月に銀座7丁目に新規店舗をオープンした。

「1店舗目の立ち退きが契約上2021年2月までだったんです。だから、2月までは銀座1丁目店を閉めることができず、2店舗を経営していました。しかし、利益が出ずに『0円』なんてこともあったんです。損失は月々マイナス90万~100万円くらい出ていて、本当にキツかったです……」

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