低予算「ミニオンズ」を大ヒットさせた大物の正体 任天堂とタッグ、「マリオ」の映画も制作予定

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また、ディズニーやピクサーはすべての作業を自分たちのスタジオで行うのに対し、イルミネーションはアニメーションの作業をアウトソーシングしている。

声優にお金をかけすぎないのも重要だ。とりわけジェフリー・カッツェンバーグのドリームワークス・アニメーションは、大物スターを起用することにこだわり、2004年の『シュレック2』ではマイク・マイヤーズ、エディ・マーフィ、キャメロン・ディアスにそれぞれ1000万ドルものギャラを払った。

だが、そんなドリームワークスは、競争が激化する中で生き延びることができず、2016年、ユニバーサルに買収されることに。ユニバーサルはメレダンドリに両方のスタジオのトップを務めてもらうことを希望するも、本人は、ドリームワークスに関してはコンサルタントにとどまると決意した。

そんな状況下のドリームワークスで、今、『シュレック』の再展開プロジェクトが進められている。過去の『シュレック』には1億6000万ドルが使われていたが、その半分の予算で作られるであろう映画がどう見えるのか、楽しみだ。

長年かけて任天堂と信頼関係を構築

また、来年は、メレダンドリと「マリオ」の生みの親である宮本茂が共同プロデュースするタイトル未定のスーパーマリオの映画が公開される。任天堂は、この映画の後も映像分野でアドバイスを仰ぐべく、昨年、メレダンドリを外部の役員として役員会に招き入れた。

宮本は、恒例の株主総会で、「『スーパーマリオ』の映画のために、クリスとは5年仕事をしてきました。その経験を通じて、クリスは任天堂の視点をしっかり理解してくれたと思います。海外で制作の仕事をする人にとって、任天堂の独自の考え方を理解するのは難しいと思いますが、なぜ任天堂がキャラクターやビジュアルのコンテンツを作るのかを、クリスはわかってくれています」と述べている。

メレダンドリの力で、マリオやほかの任天堂のキャラクターにも新たなブームが訪れるだろうか。

猿渡 由紀 L.A.在住映画ジャーナリスト

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さるわたり ゆき / Yuki Saruwatari

神戸市出身。上智大学文学部新聞学科卒業。女性誌編集者(映画担当)を経て渡米。L.A.をベースに、ハリウッドスター、映画監督のインタビュー記事や、撮影現場リポート記事、ハリウッド事情のコラムを、『シュプール』『ハーパース バザー日本版』『バイラ』『週刊SPA!』『Movie ぴあ』『キネマ旬報』のほか、雑誌や新聞、Yahoo、ぴあ、シネマトゥデイなどのウェブサイトに寄稿。米女性映画批評家サークル(WFCC)会員。映画と同じくらい、ヨガと猫を愛する。

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