「幸運を信じる人」の成績がいい科学的な理由 実験が明らかにした「儀式」や「お守り」の力

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第2の実験では、ふたつのグループの学生におもちゃをひとつ渡した。左右にバランスよく傾けて、小さなボールを穴に入れる仕組みのおもちゃだ。

ひとつのグループは「これは指を交差させて幸運を願うしぐさの効果を調べる実験です」と言われた(ドイツでは幸運を願う際、「きみのために親指を押すよ」と表現する。この実験はドイツでおこなわれたので、実際にはこの表現が用いられた)。

もうひとつのグループは、予想がつくだろうが、ただおもちゃで遊び、ボールを穴に入れてくださいと言われた。

するとたしかに、幸運を願うしぐさの効果を調べる実験だと信じていたグループは、そうではないグループより、小さなボールを小さな穴により多く入れたうえ、要した時間も少なかった。

ほかのふたつの実験では、あなたの幸運のお守りを研究室にもってきてほしいと、学生たちは事前に頼まれていた。

そしてひとつのグループは記憶力テスト(基本的にトランプの神経衰弱で、カードをひっくり返してペアをつくる)やアナグラムの課題(8つの文字を組み合わせて、できるだけ多くのドイツ語の単語をつくる)に取り組むあいだ、お守りを身につけることを認められた。

そして、もういっぽうのグループは、それぞれの課題に取り組む前に、お守りをとりあげられた。

さあ、あなたにも予想がつくだろう――お守りを身につけていたグループは、お守りをとりあげられたグループよりも、記憶力テストとアナグラムの課題の両方でいい成績をおさめた。

「幸運を信じる」ことの大きな恩恵

ダミッシュはこうした結果から“幸運を信じる迷信を活性化させると、課題をこなす能力が自分にはあると思えるようになり、パフォーマンスが向上する”と述べている。

宇宙における外部の力として、あるいは私たちの行動すべてにその効果があらわれる個人の特性として、呪術的思考、迷信、幸運を信じると、きわめて大きな恩恵がもたらされる。

こうしたことを信じていればストレスや不安をやわらげられるし、不確かな状態に道筋が見えるような気がするからだ。

(翻訳:栗木さつき)

バーバラ・ブラッチュリー 心理学者・神経科学者

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Barbara Blatchley

アグネス・スコット・カレッジの心理学・神経科学の教授。インディアナ大学で学士号を、サウスカロライナ大学で博士号を取得。生理心理学、神経科学、リサーチにおける統計学、学習・感覚・知覚に関する心理学、うつ病の生物学的メカニズム、脳の発達に影響を及ぼす要因などを研究している。著書にStatistics in Context(2018年、未訳)がある。

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