東洋経済オンラインとは
キャリア・教育

日本人が開発した「最強磁石」世界を席巻する凄み スマホや自動車に不可欠な「ネオジム磁石」

7分で読める
  • 左巻 健男 東京大学非常勤講師。元法政大学教授、『RikaTan(理科の探検)』誌編集長
2/4 PAGES
3/4 PAGES

ただし、ネオジム磁石にも弱点があります。サマリウム・コバルト磁石と比べて、耐熱性(高温に耐える性質)が弱いのです。

佐川が最初に作ったネオジム磁石は、磁力は世界最高であることが確認されましたが、耐熱性が悪いということがわかりました。佐川は、「あなたの磁石はおもちゃにしか使えないよ」と上司に言われて愕然としました。

希土類元素の中でもとくに希少で高価なジスプロシウムをたくさん混ぜるほど耐熱性が上がるものの磁力の強さは弱まっていくということがわかりました。それでもサマリウム・コバルト磁石より磁力が強い範囲で200度ぐらいまで耐えるものができたので、工業化することができました。ジスプロシウムがないと耐熱性は80度程度でした。

そこでさらなる磁石性能の改善(とくにジスプロシウムを減らしても耐熱性を保持・向上)の研究開発が行われています。

実は、1960年代後半にアメリカでそれまでの磁石性能を凌駕するサマリウム・コバルト磁石が発明されるまでは、日本は世界をリードする磁石王国でした。

「KS磁石鋼」で世界を驚かせた本多光太郎

1914年、第1次世界大戦が始まりました。今まで外国から輸入していた優秀な鉄鋼の輸入が途絶え、磁石鋼など鉄の研究が奨励されるようになりました。本多光太郎は、それまでの磁石性能の3倍も強力な磁石を発明して世界を驚かせました。KS磁石鋼です。「K・S」の名は資金援助をした住友吉左衛門の頭文字からとりました。KS磁石鋼は、鉄‐炭素‐コバルト‐クロム‐タングステンを一定の割合で混ぜた磁石鋼です。

1931年には、三島徳七がKS磁石鋼より何倍も強いMK磁石鋼を発明しました。「M・K」の名は、養家の三島姓と旧姓の喜住の頭文字からとりました。これは、鉄‐ニッケル‐アルミニウムよりなる磁石鋼でした。

4/4 PAGES

こちらの記事もおすすめ

あなたにおすすめ

キャリア・教育

人気記事 HOT

※過去1週間以内の記事が対象