アマゾンで買った商品にベゾスが激怒した理由 「顧客へのこだわり」を最優先する企業文化
このような梱包には理由があり、ある大きさを超えた品物は、「1点1箱で1個ずつ出荷しなさい」というシステムになっていたのです。またアマゾンでは品物によって倉庫が分かれているので、必ず複数の品物を1つの箱に同梱するということはありません。
しかしヨガマット事件が起きてから、なるべく箱の充填率を上げる仕組みをアメリカでつくり始めました。そのしくみを各国が導入したので、いまは品物によっては、大きいものと小さいものが1つの箱に同梱されることもあります。
効率化やコスト削減も忘れない
ジェフ・ベゾスの発想はつねにお客さま目線です。
「こんなことでは、お客さまがハッピーなわけないだろう?」
という問いかけがつねに来る。
そこでアマゾニアンたちは、「なんとかしようぜ」と動きだすわけですが、それはジェフ・ベゾスを喜ばせるためではありません。あくまでも、お客さまを喜ばせるため。ここがアマゾンのすごいところだと思います。
お客さまのニーズを満たすためには、会社の利益を毀損したり、面倒くさいプロセスを追加したりしなければいけないとしても、ベゾスの言葉は「やれ」です。
そして「やれ」のあとに来るのが、「それを、今よりも効率よくやりなさい」です。
「もしお客さまのためにすることでコストがかかるなら、それをコストがかからないように考えるのが君たちの仕事でしょう」という発想をする。
「コストをお客さまに押しつけるのではなく、お客さまにサービスを提供しつつ、コストをいかに下げられるかに君たちは頭を使いなさい」というのが基本的な姿勢なのです。
ちなみにアマゾンは次々と新規事業を始める会社でもありますが、撤退ポイントをきちんと決めておく会社でもあります。最初から黒字にしろとは一言も言っていない。撤退か継続かの判断基準は、「お客さまのニーズを満たせるかどうか」です。「そのサービスで提供したいCustomer Experienceがちゃんと出せているか」です。
最初のうちは赤字でも仕方がない。ただしPDCAを回せ。KPIに対してコストがどうなっているかは全部わかっているので、そのCustomer ExperienceのKPIを維持した状態で、ほかのKPIを全部最適化しなさいという活動を、どのアマゾンのビジネスもやってきています。
こうした企業文化は、つねにお客さまのニーズから軸足をぶらしてはいけないという、「Customer Obsession」から来る思いなのかと思います。
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