三菱電機「社長クビ寸前」が示す品質不正の傷痕 2022年の株主総会は「賛成率58%」で再任となった
今回の総会のやりとりも含めて、三菱電機の対応からそこはかとなく感じるのが「甘さ」だ。株主はその甘さを指弾しているのではないか。
2021年7月、不正問題の実態解明を目的に、西村あさひ法律事務所の木目田裕弁護士を委員長とする調査委員会が設置された。調査委は2022年5月に3回目となる中間報告を公表。不正件数は累計で148件となっている。
このうち意図的に行ったものは66件だが、不正の多くは「自分たちの製造ラインの採算を維持・向上させるためという人たちが圧倒的多数」(木目田委員長)。そうした理由から、木目田委員長は「悪質性」という言葉を使うことには否定的だ。
ステークホルダーを納得させられるか
漆間社長も同様のスタンスで、中間報告を受けて開いた会見では悪質性についての言及を避けた。確かに、報告書を読む限りにおいて不正を行った従業員らに悪意はない。ただ件数は少ないものの、悪質といっていい事案が散見された。
例えば三田製作所(兵庫県)の不正だ。試験プログラムでつねに「合格」と表示されるモードが存在し、顧客の監査時に使用されていた。不合格が出ると追加対応を求められたり、顧客側でも仕様の再検証が必要になることから、そうした問題を回避するために作ったという。つねに合格と表示されるモードは、製品の量産時は使用しないので品質に問題ないと担当者は正当化していた。
調査委員会は2022年秋までに調査を終える予定だ。ガバナンス体制全般の検証を行っている「ガバナンスレビュー委員会」(委員長は山口利昭弁護士)も報告を出す。不正がはびこる体質を改め、株主や社会をどこまで納得させられるか。「50%台の賛成率」を前に漆間社長は問われている。
三菱電機、新社長が語った「不正続発」の病巣
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