続いて、個別のランキングであるが、トップ3(ABC Cooking Studio、シーボン、スタジオアリス)の順位は前年と変わらず、若干の順位の入れ替えはあるものの4位から10位までの顔ぶれも前年と同じである。これらの会社の特徴は、7位のハイアス・アンド・カンパニーと9位のファンデリー以外は従業員に占める女性比率が9割以上であることだ(一部、2019年度のデータで確認)。
従業員の9割が女性なのだから女性管理職比率が高いのは当たり前。それをわざわざランキングする意味があるのかというご意見が寄せられそうだが、実際に算出された高い数値例をランキングにして広く示す意味はあると考える。
また、前述のCG報告書では多様性の確保に関する開示の中で、人材の育成や社内環境の整備に触れる必要がある。女性比率9割以上の企業が多様性に富んでいるとは言いづらいが、女性関連の比率が高い会社の取り組みは、今後従業員に占める女性比率、さらには女性管理職比率が高まっていくと思われる多くの企業には参考になる情報と思われるので、ここでも上位企業のいくつかの事例は前回同様に触れておく。
女性に活躍の場を提供している企業が上位に
4年連続1位となったのは東京を中心に国内外で料理教室を展開しているABC Cooking Studioで97.1%(女性管理職数:166人、以下同)。従業員数も1032人中、女性が997人で女性比率は96.6%と高い。女性の部長比率も95.0%と高く、女性に活躍の場を提供している企業と言える。
79.1%(2877人)で4位となった介護事業で業界首位のニチイ学館は、1968年の創業以来、女性の就労機会の提供に努めてきた企業であり、女性比率は90.4%と高い。また70%前後を女性管理職比率の適正水準としているが、現状はその水準を上回っている。
同社は3歳から就学前の子を持つ社員が利用できるものとして、短時間勤務制度、所定外労働させない制度、従業員向け保育園も設置しているほか、0歳児から小学校修了までの子を持つ従業員に、子1人につき年3日間の「子の育児目的の休暇」の付与や失効有休を積立てて、家族の介護や看護のときに使用できる「家族愛休暇」などの制度を設けている。
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