これらも本人が自覚している音と実際に発話されている音との乖離については不明ですが、大多数のネイティブが成句ではないときには「逆行同化」は起きないという認識だということがわかりました。
今回の調査をもとに考えると、成句になっているものは「逆行同化」がかならず起きるものと覚えておくのがよさそうです。「確立同化」などと呼ばれますが、同化が一般に標準化されている状態であり、そう発音しないと誤りと思われてしまうものを指します。それに対して偶然に並んだものは、ある一定の条件や個人的な発音習慣から起こるものと考えるとよさそうですね。これは「確立同化」に対して、「偶発同化」と呼ばれます。of courseは悩ましいですが、「偶発同化」に近いのかもしれません。
newspaperやbe supposed toは?
ほかにも有声音が無声音に変化をする「逆行同化」が起きるケースはないかと検討してみました。単語の成り立ちの過程で「逆行同化」をして、有声音が無声音になったと思われるケースにnewspaperが思いつきました。英語ではnewsの発音は/njuːz/(ニューズ)または/nuːz/(ヌーズ)です。これが新聞になるとpaperと合体しnewspaperとなり、有声音の/z/(ズ)と無声音の/p/(プ)が並ぶのです。筆者はnewspaper/ˈnjuːsˌpeɪpɚ/(ニュースペイパー)と発音していましたので、これも「『逆行同化』では?」と思い当たりました。
ロングマン発音辞典で調べてみると、「ニューズペイパー」と「ニュースペイパー」、どちらの発音も正しいようで、ネイティブのアンケート調査の結果まで載っていました。
イギリスでは6割、アメリカでは7割の人が「逆行同化」をせずに「ニューズペイパー」と言っているそうです。多数派の発音を使用するのが無難ですので、こだわりがなければ「ニューズペイパー」と言うのがよいと思います。でも、どちらも許容されていますので、すでに「ニュースペイパー」で覚えている方は、筆者同様にそれを使い続けてもいいでしょう。
また、be supposed to(~することになっている)という成句も「逆行同化」と思われたので、辞典で調べてみるとイギリス英語では両方の発音が、アメリカ英語では「逆行同化」をしない発音が載っていました。これについてはアンケート調査結果などの掲載はありませんでした。
もう少し早く気づけば、同僚へのアンケートに含めたのですが、今回はbe supposed toについては調査することができませんでした。皆さんはどちらの発音を使用していますか。また、もし身の周りにネイティブがいたら、newspaperとbe supposed toの発音、どちらの発音を使っているか、ぜひ尋ねてみてください。
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