「自分の利益」で人脈づくりをする人には近づくな 人脈を作りたいなら「何を提供できるか」考えよ
「私にどんなメリットがあるのか?」という考え方は、取引ベースの(Transactional)考え方で狭量であり、これに引き付けられるのは、似たような取引的な考えをする人間だけだ。
このタイプの人は、徹底的に避けよう。彼らはテイカー(奪う人)だ。ギバー(与える人)ではない。彼らは、グループや人間関係から吸い取れる「価値」ならどんなものでも吸い尽くすまでそばにいる寄生虫のような存在で、吸い尽くしてしまえば次の獲物へと移っていく。
つながる前には綿密な下調べ
ジョーは、誰かとつながろうとする前に、彼独自の下調べをする。その人がどんな人か、どんな背景を持つのか、何を重んじるのか、何に関心があるのか、何を達成しようとしているかを、彼は心から知りたいと思っているのだ。それをしてようやく、その人にすばらしい価値を提供することだけを目的に、心配りのある適切な態度で、働きかける。
例えば、ジョーが、ビジネス界の大物リチャード・ブランソンに初めて会ったのは、リチャードの財団「ヴァージン・ユナイト」(訳注:ヴァージン・グループが設立した慈善団体)の資金集めのために催されたパーティーのときだった。ジョーはリチャードの慈善活動に1万5000ドル(約173万円)の寄付をした。そのお礼として、ジョーは、リチャードとごく少数の寄付者だけが出席するディナーに招待された。
そのディナーでは、リチャードから引き出せるだけの価値を引き出そうとする人たちがいる一方で、ジョーは、リチャードの活動にさらに価値を加えようとしていた。ヴァージン・ユナイトとその理念について人々を啓発するビデオを配信すれば、さらに寄付が増えることが期待できる、と考えたのだ。
ジョーはリチャードに、教育ベースのマーケティングを活用することで、ヴァージン・ユナイトのメッセージをいかにして世界中の人々に伝えられるかを説明した。人々がこの財団についての理解を深めれば、もっと積極的に支援するようになるだろうと。
アイデアを聞いたリチャードは、それを書面にして、個人のEメールアドレスに送ってほしいと、ジョーにアドレスを渡した。