明石市「9年連続人口増」実現した子育て民主主義 泉市長「子どもを増やすには商人を儲けさせよ」
――日本の人口減少、少子化をどう認識していますか?
ものすごい危機感がある。私は40年前、大学で教育学を専攻していた。そのころから日本は、子どものことは家族やムラ社会に任せっきりで、政治や行政は子どもに金を使わない「冷たい国」になっていた。「子どもを応援しない国に未来はない」と卒業論文に書いたほどだ。
2003年に国会議員になったころ、フランスの少子化対策を勉強した。低下していた出生率がV字回復したのは、なんでかなと。理由は簡単で、予算を倍にしたから。子どもを3人以上産んだら老後の年金は増えるし、遊園地も子ども2人の4人家族だったら4人分のチケット代を払うけど、もう1人増えて5人家族になったら全員タダ。
政策が少子化を大きく変えられる
子どもを産めばお得というのをドラスティックにやったら、「ほんまに出生率はあがるんやな」と思った。政策が少子化を大きく変えられることを学んだ。市長になって、これをようやくリアリティーを持って実践できるようになった。
――周辺自治体から子育て世代の転入が急増し、明石市は9年連続で人口が増加していますが、それでも自然動態(出生数から死亡数を除いた人口増減)で見ると5年連続でマイナスです。
私は人口を増やせるんだったら増やした方が経済を回しやすいとは思っているが、人口増論者ではない。
今の日本社会は、たとえ合計特殊出生率が(人口を維持できる水準の)2.07以上になったとしても、これだけ子どもを産む年齢層の人たちが減っている以上、当面は人口減に向かうのは避けられない。「産めよ殖やせよ」なんて思ったことはないし、人口が減ってもみんながやっていける社会を作るべきだ。
明石市はお客さんをよそから取りたいのではなくて、ただ出産と子育てがしやすくて暮らしやすい街を作っている。そうしたら自然と周りから人が来てくれはった。「明石だから2人目を産める」と、ね。
ただ正直、一気に人口が増えすぎて、待機児童の増加や学校の不足、渋滞、不動産価格高騰の問題もある。駅前のタワーマンションも、私の出身地である田舎の漁師町もこの5年間で実勢価格が倍になった。ぼちぼち周囲の自治体にも明石並みの施策をやってもらわないとパンク状態になりかねない。
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