これからの日本は「CSR」で稼いでいける

日本企業が自覚していない「非価格競争力」

桑島:なるほど。ということは、たとえば、「水危機が叫ばれている。社会運営や企業活動において水使用の効率化に配慮しなければならない」というようなルールや規制を、日本が主導してグローバルレベルやローカルレベルで形成していく。それによって、日本企業が擁する水供給技術や節水技術のバリューを非価格競争力として顕在化させていく。それを官民一体でやっていきましょう、という理解でよろしいですか。

田村:そういうことです。われわれの役割は、おそらく2つあります。ひとつは日本企業が社会課題の解決力をすでにお持ちであり、その発揮が自社の非価格競争力となるという発想について、企業の方々にご理解いただくこと。

もうひとつは、企業の方々と共に、日本企業の社会課題解決力が発揮され非価格競争力につながるようなシステムあるいはルールを、グローバルに作り上げていくことです。

たとえば、わかりやすい例で申し上げると、ISO(国際標準化機構)の基準作りを積極的にすることによって、日本企業が持っているノウハウが国際社会で正当に評価されるようなシステムを作る、というような政策です。

ちなみに、このような政策は、すでに経済産業省によって推進されてきており、省エネ家電などの分野で成果を挙げつつあります。

もっとも、日本企業の非価格競争力の正当な評価に役立つルールは、別にISOにかぎらず、ありとあらゆるものがあるわけです。

また、われわれが最終的に商売をするマーケットは、結局、それぞれのローカルマーケットになるわけで、それぞれの国のジュリスディクション(司法権の管轄地域)の中でどのようなルールがあるのかということにも、われわれは気を配る必要があります。

つまり、グローバル規模のルールを作ると同時に、それを、それぞれのローカル市場のルール作りにつなげていく、という展開、あるいは、ローカル市場のルール作りをしながら、グローバル規模のルール作りにつなげていく、という展開を、一つひとつの商品や社会課題の実情を考慮しながら適切に選択していくことが理想的でしょう。

桑島:なるほど、よくわかりました。ひとつは、グローバルに出ていって、グローバルスタンダード、国際標準を取りにいく。さらに個別の国のルールも押さえる必要があるということですね。

しかし国際標準を動かそうとするならば、いろんな学会だとか、業界団体だとか、NGOとか、グローバルなステークホルダーを巻き込んでいかなければいけないでしょう。正直、今の日本企業にとって、グローバルにマルチステークホルダーを巻き込んで、アジェンダセッティングをして働きかけていくというのは、まだかなりハードルが高いのかな、という気もするのですけれども。

田村:それを解決するために、桑島さんたちの会社、「青山社中」があるんでしょう(笑)。

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