2つ目は、金融市場のひずみで過度の円安になり被害をこうむっているわけだが、その被害をあえて拡大するように、日本銀行が過度の金融緩和を行い、継続したことである。円安の被害を自ら最大限に拡大してきたのである。
3つ目は、政策論争が「円安、インフレを望む」というまったく180度間違った方向に進んでしまい、間違ったエコノミスト、えせ経済学者の影響がメディアや人々の間に残ってしまったことである。今後、彼らが退場していったとしても、人々の「印象の混乱」は残るから、妥当な為替政策、円安を止める政策が行われなくなり、金融政策の修正もできなくなってしまう。
このような状況がこの10年続いてしまい、日本経済は現在のような悲惨な状況に陥ってしまったのである。
過度の円安を修正するのは難しくない
では、どうするか。ここからは、政策提言である。
答えは簡単だ。過度の円安を修正すればよい。かつ、それは簡単に実行できる。日本銀行の金融政策は異常な異次元緩和なのであるから、ごく普通の金融緩和に戻せばよい。引き締めではないから、景気を悪くすることはない。
イールドカーブコントロールを修正すればいちばんいいし、連続指し値オペを止めるだけでも効果はある。投機的トレーダーとの戦いになるが、テクニカルではあるが、勝つ気でやれば必ず勝てる。問題は、それをやる気があるかどうかである。
6月17日の日銀政策決定会合後の黒田東彦総裁の記者会見で、黒田氏は久しぶりに気合いを表に出したので、あとはメディアと世間の円安とインフレに対する認識を正しいものにすれば、黒田日銀も動けるようになるはずだが、会見では日銀の「4つの誤った認識」が再度繰り返された。
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