「それでも米国株は年内上昇する」と予想するワケ 今の市場はあまりにも悲観的になっていないか
前回(6月6日)のコラム「日米の株価がもう一段上昇しそうな『2つの理由』」では、「日米など主要国の株価は、底打ちした感がある」(ただし2023年には景気が反落する懸念)と述べた。
しかし実際には、短期の市況見通しを完全に誤ったようだ。10日あたりから、主要国の株価はアメリカの5月分の消費者物価指数の前年比での上振れも悪材料となって、調整色を強めてしまった。
今のところ、日経平均株価は年初来安値までにはまだ余裕があり、重要な節目となっている5月の安値もぎりぎり割り込んでいない。だが、NY(ニューヨーク)ダウ工業株30種平均は今年の年初来安値を更新し、ついに3万ドルの大台も下回った。
とはいえ、前回のコラムと大枠の見解は変わっていない。足元の、とくにアメリカ株は売られすぎの度合いを強めており、すぐにではないとしても、年末に向けて上昇基調に復すると予想している。ただ、これも前回のコラムで述べたように、2023年は実際の景気悪化から、主要国の株価が大きく下押しする局面が再来するとも考えている。
相場サイクル論からアメリカ株を考えるとどうなるか
そのような大枠の見解を、これまでの相場推移と合わせて、市況のサイクル論でまとめ直してみよう。なお、以下はアメリカ株についての見解だ(日本株もある程度並行的に動いている)。
相場がさまざまな局面を循環(サイクル)する、という考え方がある。典型的には「金融相場」(金融緩和による株価上昇)→「業績相場」(金融緩和が景気や業績を改善させることによる株価上昇)→「逆金融相場」(景気過熱に対応するための金融引き締めによる株価下落)→「逆業績相場」(金融引き締めが景気や業績を悪化させることによる株価下落)をたどる、とされている。
なお、金融相場と業績相場の間に「中間反落」、逆金融相場と逆業績相場の間に「中間反騰」が位置する、との解釈もある。
こうした「株価がサイクルをたどる」という考え方は、かなり教科書的なもので、上記のようにサイクルがきれいにぐるりと回る、とは限らない。各サイクルの時間の長短も局面によってかなり異なる。その結果、例えば逆金融相場より中間反騰のほうが期間も長くなる、などといったこともありうる。
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