「それでも米国株は年内上昇する」と予想するワケ 今の市場はあまりにも悲観的になっていないか

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市場動向を見ても、カネ余りによって「イケイケドンドン」の雰囲気にあふれていた、いわゆるGAFAM銘柄や、SNSでもてはやされたミーム株(はやり株)、IPO銘柄、SPAC(特別買収目的会社)などの価格が大崩れを始めた。

こうした「やりすぎ投資」の終焉も、金融相場の終わりを告げていたといえる。また、11月には新型コロナウイルスのオミクロン株の流行に対する懸念もあり、金融相場が終わっての中間反落との解釈が可能だ。

しかし、S&P500種指数やNYダウは、そうした株価下振れを乗り越えて、今年初あたりまで堅調であった。これは「金融緩和の縮小が始まっても、まだアメリカの経済や企業収益は拡大が持続する」との見解が優勢であったため、業績相場が生じた、と考えられるだろう。当時の物色動向でも、業績相場において優位とされるバリュー株(割安株)が、収益期待の見直しから優位な展開であった。

ところが、その業績相場は極めて短命で終わったのだろう。2月のロシアのウクライナ侵攻が、エネルギー価格を中心に一段とインフレ懸念を強め、インフレ対応のための連銀の引き締め加速観測が広がった。そこで逆金融相場の火ぶたが切られ、現在に至っているといえる。

それでもアメリカ株は底固めから年内上昇へ

今後については、前述のように、なお短期的な市況波乱の持続はありそうだ。だが、アメリカをはじめとした主要国の株価は、底固めから年内は上昇基調に踏み出すと見込んでいる。また、むしろ来年に市場波乱が訪れそうだという見解も、前述ないし前回のコラムのとおりだ。

これはサイクル論でいえば、足元の逆金融相場がもうすぐ終わって、そのあと年末あたりまでやや長めの中間反騰が生じると予想する形になる。さらに今年ではなく来年には、現実に金融引き締めの効果が経済や企業収益に現れて、いったんは逆業績相場が訪れる、と位置づけられる。

こう考えるのは、市場では今すぐにでも企業業績が悪化し、逆業績相場に突入するかのような悲観論が横行しているからだ。この悲観論が行きすぎだと解釈しており、それが薄らぐことで年末までの株価上昇が実現しよう。

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