急増する「社員インフルエンサー」7つの危うさ 誹謗中傷、過重労働、社内孤立、退社トラブル…
社員インフルエンサーという戦略をはじめたあとに必要なのは、フォロワーや閲覧の数を増やすことだけではなく、「社内理解をどう得ていくか」も同じくらい重要。さらに、「インフルエンサー社員を孤立させると、SNSの投稿にも乱れが出やすい」などのリスクも発生します。
4つ目の危うさは、業界への配慮。個人の名前と顔を表に出している以上、社員インフルエンサーのSNS投稿は、「自主性を重んじるべき」「うそをつかせない」ことがベースになります。だからこそ危ういのが、投稿における自社と他社のバランス。たとえば、自社の商品をPRするために「間接的に他社の商品をけなしてしまう」「業界内の問題や批判をサラッと話してしまう」などの投稿をしてしまうケースは少なくありません。
そもそも自社のことだけを考える視野の狭い人は、発信の幅も狭くなりやすく、インフルエンサーとは言えないほど影響力の小さい人がほとんど。「業界全体の発展を望み、見てくれる人々のためになり、楽しい情報を届ける」という利他的なスタンスで発信できているか。それができていなければ、自社のネガティブ・キャンペーンをしているような形で終わりかねないのです。
あいまいな評価指標と誹謗中傷対策
5つ目の危うさは、あいまいな評価指標。「スッキリ」MCの加藤さんは、「インフルエンサー手当は出ているのかな……」とコメントしていましたが、それ以前に「どんな基準で評価するのか」すらあいまいな企業が多いようなのです。
フォロワー数、閲覧数、商品の売上などの目標設定に妥当性があるか。短期的な結果を求めすぎていないか。「うまくいったら査定につながるから」などの不確かな成功報酬に留まっていないか。私の相談者さんにも、これらが不透明なため、「社内評価が低すぎる」「モチベーションが保てない」「自分が疲弊していくだけだと感じる」などと不満を漏らす人がいました。「企業側が少しでも早く評価指標を定められるかどうか」が今後の鍵を握っているのではないでしょうか。
6つ目の危うさは、誹謗中傷対策。社員インフルエンサーの影響力が大きくなるほど、残念ながら誹謗中傷も増えてしまいます。もともと社員インフルエンサーは、誹謗中傷には慣れていないだけに、技術と心の両面でケアが必要。メンタル状態を気にかけるスタッフを身近なポジションに置きつつ、誹謗中傷のコメントを早期削除する体制作りが求められます。
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