急増する「社員インフルエンサー」7つの危うさ 誹謗中傷、過重労働、社内孤立、退社トラブル…

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また、「やらせっぱなしで育成やフォローをしない」という企業も少なくありません。SNSに詳しい人がおらず、外部のアドバイザーを立てない企業もあり、「本人に任せにしてしまい、疲弊させたあげく、尻すぼみで終わる」というケースも散見されます。

事実、私のもとにも、「上司から推薦されてはじめてみましたが、なかなか思うようにいかず、誰にも相談できません。すぐにやめることは許されない雰囲気があるし、こんなことなら断っておけばよかった」という外食企業社員からの相談が届きました。適材適所の人事と育成面でのフォローは、最初の課題と言えるのではないでしょうか。

2つ目の危うさは、過重労働。「スッキリ」MCの加藤浩次さんが、「何か大変だね。『他の仕事もやってる』ってことだよね」とコメントしていましたが、社員インフルエンサーは兼業であることがほとんどであり、単純に業務の総量が増えることになります。

社員インフルエンサーとしての業務が加わった分、通常業務を軽減させない企業も多く、「会社のSNSはボランティア」とこぼす人の声をこれまで何度も聞いてきました。社員インフルエンサーは、自分の名前を使い、顔を出しているだけに、「失敗したらみっともない」とキャパシティーを超えて頑張りすぎてしまう人もいるようです。

さらにもう1人過重労働につながりがちなのは、社員インフルエンサーのSNS投稿をチェックする管理職。「通常業務を行っている中、つねにスピーディーなチェックを求められる」「休日もチェックしなければいけない」としたら明らかな負担増でしょう。炎上による企業イメージや売上の大幅なダウンを回避するためのチェックは必要ですが、影響力が増し、更新頻度が高くなるほど、その負担は倍増していきます。

社内での孤立と業界への配慮

3つ目の危うさは、社内での孤立。前述したように、社員インフルエンサーの通常業務を軽減させると、おのずと他の社員にしわ寄せがいきます。すると、「何で私があの人の仕事をやらなければいけないのか」という反発が生まれやすいところがあります。

これだけなら「他の業務でもよくあること」にすぎませんが、名前と顔を出して表に出る社員インフルエンサーは、「目立ちたがり」「遊んでいるようにしか見えない」「調子に乗っている」などと陰口を言われがち。特に社内の他部署や外部の人々から、「イケメン社員」「美人社員」「人気者」などとほめられる社員インフルエンサーは、身近な社員たちからやっかみを受けるケースが目立ちます。

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