急増する「社員インフルエンサー」7つの危うさ 誹謗中傷、過重労働、社内孤立、退社トラブル…
6月23日の「スッキリ」(日本テレビ系)で、「社員インフルエンサーが増加中」という特集が放送されました。“社員インフルエンサー”とは、SNSを利用してインフルエンサーとなる社員のことであり、企業や商品のブランディングや販促などが期待されています。
番組では、「大京警備保障の社員が行うTik Tokフォロワー数が250万人超え」「創業150周年 資生堂46人の美容部員がSNS開設」「大丸松坂屋 お菓子好き社員が1月に開始したTik Tokフォロワー約2万人、動画は半年間で140本以上」「ドン・キホーテ1店舗限定 社員インフルエンサーの卵がSNS風の店内動画でZ世代に発信」「アーバンリサーチが社員インフルエンサーたちのフォロワーを重視した新ブランド設立」などの具体的な事例を挙げて徹底的に特集。
ブランディングや販促のほか、「社員ならではの情報を発信できる」「企業からPRの依頼やアライアンスが得られる」などのメリットも紹介されていました。また、今回『スッキリ』で採り上げられたように、自社の社員インフルエンサーがメディア出演することで、さらなる大きな効果が期待できます。
だから、さまざまな企業がマーケティング戦略の一環として、社員インフルエンサーの活用に力を入れている……インフルエンサーマーケティングの重要性に疑いはないものの、テレビもネットも「華やかな事例やメリットのみをピックアップする」という礼賛一色のスタンスに危うさを覚えてしまいました。
実際、数社のマーケティング担当者と話しているとき、危ういケースを何度も聞いてきましたし、私自身、数人の社員インフルエンサー本人から悩み相談を受けたことがあります。社員インフルエンサーの登用は、決してメリットだけではありません。実に7つもの危うさがあるのです。
7つの危うさとは、どんなものなのか。「なぜ華やかな事例やメリットのみをピックアップするメディアが多いのか」も含め、その本質を掘り下げていきます。
人事の妥当性と過重労働の疑い
1つ目の危うさは、人事と育成の難しさ。
基本的に、社員個人の名前と顔を表に出してインフルエンサーになってもらう以上、強制での指名はもちろん、「やれるのは君しかいないんだ」という暗黙の了解を押し通す人事はハラスメントと紙一重。「快く受け入れてくれた」と思っていても、「実は本意ではなかった」というケースは多く、成果があがらないだけでなく、退社や告発のリスクをはらんでいます。
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