「3月解禁、8月選考開始」を鵜呑みにするな 採用活動で経団連指針を無視する企業が続出

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しかし、最近は特定の学生を何回もインターンシップに参加させるという動きがある。都内のある学生は「夏のインターンシップに参加したら、秋のインターンシップにも呼ばれて、冬のインターンシップにも参加しないかと誘われた」。これでは、実質的に夏のインターンシップが1次試験、秋が2次試験、冬が3次試験と言えるのではないか。

インターンシップのピークは2月

インターンシップ開催のピークは今年の2月。解禁直前のインターンシップは採用試験と見るのが普通だろう。企業はインターンシップで目をつけた学生を、リクルーターの派遣、説明会、食事会などで囲い込むに違いない。

明治大学の「就職活動直前セミナー」で福宮賢一学長は「就活は思い切りも重要。様子を見すぎるのではなくて、アクセルを踏むことも重要」としたうえで「学生に失うものはない。勝ち取ることを考えてほしい」と激励した。

明治大学・福宮賢一学長

さらに、「キャリアセンターには40人のスタッフがいて、毎年2万件以上の相談に応えている。5000社以上の企業から求人がある」と大学のサポート態勢が万全であることを強調した。

会場にいた学生に話を聞くと「イベントに出て気合いが入った。後期試験も終わったし2月から就活を頑張ろうと思う」「大学が学生を応援してくれていることが伝わってきた。今まで特に活動していなかったが、やらなければという気持ちになった」という答えが返ってきた。

就職活動直前セミナーが就活スタートのきっかけになったようだ。スケジュール後ろ倒しで、のんびりしている学生が少なくないが、このイベントを契機に就活モードに入るだろう。企業が実質的に採用活動を開始している一方で、大学もしっかり対応している。

2016年新卒採用はすでに始まっている。「3月解禁、8月選考スタート」を鵜呑みにしては危険だ。

(撮影:今井康一)

田宮 寛之 経済ジャーナリスト、東洋経済新報社記者・編集委員

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たみや ひろゆき / Hiroyuki Tamiya

明治大学講師(学部間共通総合講座)、拓殖大学客員教授(商学部・政経学部)。東京都出身。明治大学経営学部卒業後、日経ラジオ社、米国ウィスコンシン州ワパン高校教員を経て1993年東洋経済新報社に入社。企業情報部や金融証券部、名古屋支社で記者として活動した後、『週刊東洋経済』編集部デスクに。2007年、株式雑誌『オール投資』編集長就任。2009年就職・採用・人事情報を配信する「東洋経済HRオンライン」を立ち上げ編集長となる。取材してきた業界は自動車、生保、損保、証券、食品、住宅、百貨店、スーパー、コンビニエンスストア、外食、化学など。2014年「就職四季報プラスワン」編集長を兼務。2016年から現職

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