しかし、これだけメリットはあるのに、雑談にビビり、「恐怖感」さえ覚える人は少なくありません。なぜ雑談、とくにあまり知らない人との話は難しいのか。それは、何より「人は拒絶されることに、とてつもない恐怖心を覚えるから」にほかなりません。
人からの拒絶は「自らが群れから排除されるリスク」を意味するので、人は人から拒絶されることを極端に恐れます。そうした拒絶に、人は身体を傷つけられるのと同じぐらいの苦痛を感じるのだそうです。
世界で断トツに「コミュ力がワースト1位」の日本
そもそも、人類は脅威から身を守ることで生き抜いてきました。
「敵を避けること」が「友達や仲間をつくること」よりも生存に直結するので、簡単には人とつながれないようにできています。安易に人を信用して、心を許してしまうことには、リスクを伴うからです。だから、知らない人の雑談や会話のリスクや居心地の悪さを過大視し、その楽しさや充実感を過小視してしまう。
シカゴの通勤電車の中で、知らない人に話しかけるという実験をしたところ、「当初、多くの人が躊躇し、嫌がったものの、実際に話しかけてみたら、予想以上に楽しかったという人が大半だった」という結果でした。
とくに、リスク回避志向の高い日本人はとりわけ、雑談への苦手意識が強く、世界でも「おしゃべり、とくに知らない人との会話が苦手な国民」ということが知られています。
大手旅行サイトExpediaの調査では、機内で知らない人に話しかける割合は、日本人はたった15%で、堂々のワースト1位でした。トップのインド(60%)、メキシコ(59%)、ブラジル(51%)、タイ(47%)、スペイン(46%)と比べても、その差は歴然です。
ちなみに日本以外の下位4カ国は、韓国(28%)、オーストリア(27%)、ドイツ(26%)、香港(24%)で、日本とは10ポイント近くの差がありました。
「飛行機の中で、頭上の棚に荷物を入れるのを手伝うか」という問いに、オーストラリアやドイツ、スイス、オーストリア、アメリカはほぼ半数の人が「手伝う」と回答しましたのに対し、日本人は24%と世界最低でした。
一方で、機内の迷惑行為に対して「何も言わずに黙っている」と答えた人の割合は39%と、世界一「我慢強い」一面も明らかになりました。
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