稼ぎ頭に"大寒波"、新日鉄住金はどう動く? 大型案件失注に加えて油井管で減損計上
新日鉄住金が資源安の寒風にもまれている。エネルギー関連事業を成長戦略の一角として育成してきたが、稼ぎ頭の油井管は需要の縮小に直面。1月29日に発表した2014年度第3四半期(4~12月期)決算でも減損を強いられた。
同社に最初の衝撃が走ったのは、昨年12月上旬。トルコを訪れたロシアのプーチン大統領が、すでに建設が決まっていた天然ガスのパイプライン「サウス・ストリーム」を急遽中止すると発表したときだ。ロシアから黒海海底を経由して欧州へと天然ガスを供給する巨大プロジェクトで、総投資額は5兆円近くに及ぶとみられていた。
ロシアは代わりにトルコへのパイプラインを敷設する方針のようだ。国営ラジオ局「ロシアの声」によれば、プーチン大統領はEU(欧州連合)の非建設的な立場も阻害要因となっているとし、「トルコのために新たなガスパイプラインシステムを敷設しうる」と語ったという。
ラインパイプの大規模案件を失う
新日鉄住金にとってショックだったのは、サウス・ストリームで天然ガスの輸送に使われるはずのラインパイプを受注していたからだ。出荷はまだ行われていなかったもようだが、業界紙の報道によれば、大型溶接管を25万トンほど供給する見通しだったという。
「過去最大ではないが、規模としてはかなり大きなビジネス」(業界関係者)。 新日鉄住金のエネルギー業界向け鋼材生産量は推計で年間300万~500万トン程度とみられる。失ったビジネスは決して小さな規模ではない。
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