稼ぎ頭に"大寒波"、新日鉄住金はどう動く? 大型案件失注に加えて油井管で減損計上

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決算会見で太田克彦副社長は「中長期的にはシームレスパイプの需要が増えるとの見方を変えていない」と説明。VSBの設備改良などを通じて、中級品から高級品へシフトを図る方針を示した。

ただ業界筋では、大手石油メジャーの開発・掘削にかける設備投資は「2015年には軒並み2割減になる」とうわさされる。また、世界の油井管需要の半分を占める北米で稼働している原油・天然ガス掘削リグ数は、1月23日時点で1633基。直近のピークである2012年平均の1919基に比べると、13%も減少している。原油価格暴落で油井管を使用する掘削自体が減り始めているからだ。

影響が出るのは春先から夏?

石油メジャーの減産が本格化する2015年度をどう乗り切るかが課題

石油や天然ガスの掘削には、莫大な設備投資がかかる。価格が安くなったからといって、突然生産を止めることはできない。

特に新日鉄住金の取引先は、石油メジャーや国営企業など、売上高で10兆円を超える大手企業が多くある。国営企業の場合、一度決めた計画はなかなか変わらない。「現時点で生産に影響が出ていない」と会社側は説明するが、業界関係者は「本当に影響が出るのは、春先から夏にかけてだろう」と推測する。

新日鉄住金の2014年度決算は売上高5兆6500億円(前期比2.4%増)、経常利益4100億円(同13.5%増)と好調が続く。時価総額や収益水準で同業の韓国ポスコや欧州アルセロール・ミタルを上回り、鉄鋼業界トップの座を取り戻している。

2014年度の経常利益4100億円のうち「1000億円近くをシームレスパイプが稼いでいるのではないか」(アナリスト)と推測する向きもある。内需の強さに支えられた今期決算の好調の先に、オイルメジャーの本格的な減産が始まる2015年度をどう切り抜けるか。容易な道でないことは確かだ。

松浦 大 東洋経済 記者

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まつうら ひろし / Hiroshi Matsuura

明治大学、同大学院を経て、2009年に入社。記者としてはいろいろ担当して、今はソフトウェアやサイバーセキュリティなどを担当(多分)。編集は『業界地図』がメイン。妻と娘、息子、オウムと暮らす。2020年に育休を約8カ月取った。

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