「戦争と株価」今が大荒れだからこそ押さえたい事 ウクライナ情勢で世界の株価はどう動いたのか

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ロシアによるウクライナ侵攻は、日本の防衛産業にも追い風をもたらしそうだ。防衛費がGDPの2%を超えることになれば、5兆円の予算が新たに必要となり、文教及び科学振興費に匹敵する財政が防衛費に流れることになる。たとえば、世界の主要軍事企業をピックアップすると、次のようになる(売上高に占める軍事費の割合が7割超の企業)。

1.ロッキード・マーチン(アメリカ)
2.BAEシステムズ(イギリス)
3.ノースロップ・グラマン(アメリカ)
4.ジェネラル・ダイナミクス(アメリカ)
5.レイセオン・テクノロジーズ(アメリカ)
6.L-3コミュニケーションズ(アメリカ)

圧倒的にアメリカ企業が大きな売上高を持ち、世界の武器市場を牛耳っているのがわかる。ロシアや中国は国家ぐるみで武器を製造しているとはいえ、アメリカが戦争当事国になった場合には他国を圧倒する。このほかにもオランダの「EADS」、イタリアの「フィンメッカニカ」、フランスの「タレス・グループ」、そして日本の「三菱重工業」などがあるが、その規模はアメリカの軍事企業には遠く及ばない。国民の安全を犠牲にしてでも、軍需産業に銃を作らせなければならないところにアメリカ経済の矛盾と悲劇がある。

ちなみに、アメリカ市場に上場している軍事企業は、軒並みウクライナ侵攻から20%程度上昇しており、ロッキード・マーチン、ノースロップ・グラマン、レイセオン・テクノロジーズ、L-3コミュニケーションズなどが買われた。日本企業の三菱重工業なども侵攻開始以後、最大で1.7倍まで上昇した。

超円安から資産を守るのはドルと金投資?

一方、日本に住んでいるわれわれは、もう1つ違った視点で資産防衛をはかる必要がある。急激に進む円安に対抗しなければ、円ベースで資産防衛できても、インフレによる資産目減りには対応できないからだ。

1ドル= 145円、の声も聞こえ始めた円安は、日本円ではなく米ドル投資をすることで、自分の資産を守ることができる。株式投資なども日本企業ではなくアメリカ市場に上場している企業のほうが為替リスクはあるものの、長期的に考えた場合、投資効率は高くなるはずだ。

さらに米ドルと連動している金融商品もいいかもしれない。例えば投資信託の中でも、外貨に連動している銘柄や国内価格に為替相場が連動する「金」などもオススメかもしれない。いずれにしても、現在の状況はこれまでの投資セオリーが通用しない時代に入ったと言っていいだろう。新しい時代に対応した新しい資産防衛術を考える必要がある。

岩崎 博充 経済ジャーナリスト

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いわさき ひろみつ / Hiromitsu Iwasaki

雑誌編集者等を経て1982年に独立し、経済、金融などのジャンルに特化したフリーのライター集団「ライトルーム」を設立。雑誌、新聞、単行本などで執筆活動を行うほか、テレビ、ラジオ等のコメンテーターとしても活動している。『老後破綻 改訂版』(廣済堂出版)、『日本人が知らなかったリスクマネー入門』(翔泳社)、『「老後」プアから身をかわす 50歳でも間に合う女の老後サバイバルマネープラン! 』(主婦の友インフォス情報社)など著書多数。
 

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