世界の金融市場が大荒れだ。第2次世界大戦以後、あまり経験したことのない大規模な戦争が継続しているためだが、戦争という新しい要因に加えて、資源高に代表されるインフレも進み、今までの経験則に対応しきれていないのだろう。さまざまな要因が重なり、これまで通用してきた投資のロジックが株式市場や債券市場、為替市場などに通用しなくなってきているのかもしれない。
世界的なインフレの原因ともなっているロシアのウクライナ侵攻が、現在の金融マーケットにどんな影響を与えているのか。過去の戦争などを参考に、現在の金融マーケットが抱えているさまざまな状況を整理してみたい。
「遠くの戦争は買い」が通用しないわけとは?
ロシアがウクライナに侵攻した2月24日は、世界中の株式市場で大きな動きがあった。いったんは大きく下げたものの、やがては復活し株価が回復していくシナリオになるかと思われた。もともと金融市場には、「遠くの戦争は買い」という経験則がある。ワーテルローの戦いで下がった株をいち早く買いに動いて成功したネイサン・ロスチャイルドが語った「銃声が鳴ったら買え」の相場格言は、今でも有名な言葉になっている。
ロシアが侵攻した後、日経平均株価は3月9日には2万4717円の年初来最安値をつけている。アメリカ株は侵攻直後こそ「銃声が鳴ったら買え」の相場格言のごとく上昇する場面もあったが、事態が泥沼化する中でアメリカ株はずるずると下がり、6月14日現在の株価はS&P 500で3735.48。「弱気相場」の目安と言われる20%の下落幅を超えている。日本株も今のところ大きく下落していないものの、ドル円相場が1ドル=135円超に達しており、この先の不透明感はぬぐえない。
要するに、金融マーケットは混迷を続けているわけだが、ウクライナ情勢だけが影響しているわけではない。それ以外にも数多くのさまざまな要因が、現在の金融市場を不安定にさせているといっていい。さまざまな要因とは何か、簡単に整理すると次の5つがある。
② 「パンデミック(新型コロナウイルス)」の発生によって世界中の経済がストップしたこと
③ 世界の中央銀行が経済の停滞を防ぐために、史上例を見ない大規模な金融緩和を実施、その反動でインフレが進行、金利が急激に上昇を始めたこと
④ 大方の予想を裏切ってロシアがウクライナに軍事侵攻したこと
⑤ 金利上昇のスピードが速すぎてリセッション(景気後退)懸念が出てきたこと
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