まずは、S&P500の推移を見ながら過去の戦争と株価の関係を見てみたい。そもそも戦争で株価は下がるのか……。S&P500が暴落した原因と戦争の関係を見たい。
●第2次世界大戦……1939年9月1日から1945年8月15日まで6年に及ぶ世界大戦だがS&P500は11台から7台まで下落したものの、1945年終値では17.36にまで回復している。ちなみに、太平洋戦争中の日本の株価指数は、140前後で推移し200前後で終戦を迎えたと記録されている。戦後、日本で株式市場が再開されたのが1949年5月16日、同年の終値は日経平均株価で109円91銭。10年後の1959年終値では同874円88銭。ざっと8倍に跳ね上がっている。ただし、敗戦によるハイパーインフレに株式投資が有効だったという記録は残っていない。
ベトナム戦争は前後で株価はほぼ同じ
●ベトナム戦争……1965年3月8日にアメリカがベトナム中部のダナンに侵攻。1975年4月30日のサイゴン陥落まで、10年にわたって続いた戦争だが、S&P500は侵攻時が86.83、サイゴン陥落時は87.30。10年を経て株価はほとんど同じ、という皮肉な結果に終わっている。
●ソ連アフガニスタン侵攻……1979年12月24日に旧ソ連がアフガニスタンに侵攻。10年間続いた挙句にソ連は何も得られずに撤退。ソ連崩壊の原因のひとつにもなった。S&P500は侵攻時107.66、1年後の1980年12月24日には135.88と26%を超える上昇を見せている。遠くの戦争は買い、というロジックが生きている。
●湾岸戦争……1990年8月2日にイラクがクウェートに侵攻して始まった湾岸戦争は、アメリカ軍を中心とする国連軍がイラクを空爆して拡大した。S&P500は開戦時351.48でスタートし、10月11日には295.46まで下落。その後、1991年2月28日に終戦を迎え、株価は412.70まで上昇している。15%程度下落したものの、最終的には上昇して終わっている。
●イラク戦争……2003年3月20日にアメリカ軍がイラクに侵攻し、2011年12月15日に撤退するまで8年半にわたって続いたイラク戦争。その間に、リーマンショックを中心とする世界金融危機が起こり、株価は大きく乱高下。S&P500は、侵攻時875.67、撤退時は1215.75だった。
ちなみに、戦争や紛争でS&P500が大きく下落したのは、1973年10月の第4次中東戦争時の17%超がある。それ以外では、米国同時テロ時の11.6%、イラン大使館人質事件の10.1%がある。それ以外は、10%未満の下落率にとどまっている(日本経済新聞 市場が銃声より恐れるもの 2022年2月21日配信より)。
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