今回のロシアによるウクライナ侵攻では、2月24日には4288.70だったのが、その後4600台まで上昇。その後は下落に転じて、3735.48にまで下落。現在のアメリカ株の低迷は、戦争によって拍車がかかったインフレであり、インフレ対応を迫られたFRBによる金融引き締めが原因と考えられている。ウクライナ情勢が、原油や小麦といった資源の流通を制限し、世界的なインフレの原因になっているからだ。
株式投資はいまがチャンスなのか、それとも…?
現在の株式市場にこれまでのセオリーが通用するのか。単純に戦争だけを考えれば、ここまで株価が下がることはあまり考えられない。今回のウクライナ情勢は、「資源争奪戦争」の様相を呈しており、気候変動と相まってこれからの経済に大きな影響を及ぼす前兆と考えたほうがいいだろう。要するに、今回の戦争は長引くということだ。
世界の遠くで行われている戦争、しかしその影響は全世界に及びつつある――そんな状況の中で、われわれはどうやって自分の資産を守ればいいのか。投資と言えば、どの教科書にも「長期投資が原則」と書かれている。戦争やインフレ下でも、投資は長期がいいのだろうか。
実際に、S&P500は1945年の終値(17.36)から2021年終値(4766.18)までで274倍になっている。ちなみにアメリカの物価を見てみると、1945年1月=100ドルとすると、2022年5月は1606ドル2セント(アメリカ労働統計局、CPI Inflation Calculatorより)。16倍程度にしか上昇していない。アメリカ国民の多くが株式で資産運用し、豊かな暮らしをしていることがわかるはずだ。
今後の世界をどう見るかで大きく変わるわけだが、少なくともアメリカが世界の覇権を握り続けていると考える人は、長期投資でアメリカ株に投資するほうが高いパフォーマンスを得られる可能性があるといっていい。
実際には、S&P500に投資できる「ETF(上場投資信託)」が日本市場でも上場されているから、そこに投資しておくのがいちばん手っ取り早いかもしれない。予想を超える円安によって、日本にもインフレが押し寄せると心配する人は、アメリカの株式市場で、ドルベースでさまざまな指数に連動するETFを直接買っておく方法が最も理に適っている、ともいえる。
短期投資なら産業構造の変化を狙え!
一方、3年とか5年以内に成果を出したいという短期投資を希望する人は、今回の戦争がもたらす世界全体に及ぼす影響を考えたほうがいいだろう。たとえば、今回の戦争では防衛関連産業が大きく注目された。日本でもNATOが推進するGDPの2%に達する防衛費を目指そうとする考え方が拡大している。
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