「戦争と株価」今が大荒れだからこそ押さえたい事 ウクライナ情勢で世界の株価はどう動いたのか

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これら5つの要因が、わずか2年半に起きたことが、現在の混乱の原因といっていい。パンデミックが収束して経済が回復、モノ不足や流通の停滞などによる物価高が世界的に蔓延した。そこに原油や小麦の資源大国であるロシアに経済制裁が加えられ輸出がストップ。同じく小麦などの食物資源を豊富に持つウクライナがロシアに侵攻された。

豊富な資源を持つ両国が戦場となり、世界的なインフレに拍車がかかってしまったということだ。6月10日に発表されたアメリカのCPI(消費者物価指数)は前年同月比8.6%増にも達し、アメリカの中央銀行であるFRB(連邦準備制度理事会)やEU(欧州共同体)のECB(欧州中央銀行)などが、すでに始めていた金融引き締めに拍車をかける状況になった。いまや世界経済は、ロシアのために世界的なインフレに襲われている、という状況だ。

1930年代に類似してきた世界情勢?

80年以上前に起きた第2次世界大戦では、世界中が戦争に巻き込まれて経済がガタガタになったが、大戦が起こる前の10年間、世界はやはり現在のような混沌とした社会であったと言われている。たとえば、アメリカで1929年に起きた「世界大恐慌」では、株価が80%を超える大暴落となり、アメリカのみならず世界中が貧困の渦の中に巻き込まれた。

そんな状況の中で、ドイツやイタリア、日本がファシズムに走り、世界中の至るところで戦争や紛争が起きることとなった。最終的に世界大戦に発達したわけだが、現在の世界の状況を1930年代と重ね合わせて見るエコノミストも現れるようになった。

実際に現在のアメリカ株は、ナスダック総合指数がピーク時から30%を超える下落となり、S&P500やNYダウ平均も2割を超える下落水準にまで達している。ここまでくると、投資信託やETF(上場投資信託)、そしてヘッジファンドなどを手掛ける機関投資家が、資金を現金に逃避させる投資動向に転換していくことになる。

今後は、株価の推移を注意深く見ていくことが世界経済全体の動きを知るうえで不可欠ともいえる。最も重要な指数はアメリカ市場の「S&P500」だろう。1923年に創設された指数であり、アメリカ市場全体の約8割の時価総額比率を占め、世界経済を俯瞰する重要な経済指標と考えていい。加えてインターネットなどで指数の変化が簡単に把握でき、常に目にすることもできる。S&P500に連動するETFは、日本の株式市場でも購入することができる。

NYダウはたった30銘柄の指数であり、日経平均なども日本の特殊性があるため参考にならない。ナスダック総合指数は経済成長が盛んな時は参考になるが、今は変動幅が大きすぎて参考にならない。

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