育児がこうもしんどい理由は「不安」を抱えるから 育児は「逃げる」選択肢がほぼないという現実

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コンプレックスとは厄介なもので、そのせいで「子どもの幸せを願えない」親もいます。自分ができなかったことを子どもにやってほしいと思うけれど、それがゴールではなかったりします。子どもが自分のコンプレックスをクリアしてしまうと、今度は自分のコンプレックスがよりきわ立つので、その事実に耐えられなくなるからです。

それが明らかになったことで結果的に、ますます自分のコンプレックスが刺激されます。もともと毒親の人たちは自分が満たされていないので、子どもが幸せになっていくと、どんどんおいていかれるような気持ちになります。

だから結局、子どもにはいい大学に行くとか、きれいになるとか、そういう何か世間的にいいことはしてほしいけれど、幸せになることを素直に喜ぶことはできないのです。

親子でも適切な距離感が大事

毒親的なふるまい3「子どもがどこで何をしているかを把握しておきたい」

「子どもがどこで何をしているかを把握しておきたい」という親。これもコントロールにつながるので、エスカレートすると危ないです。小学生であれば、ある程度、把握しておく必要がありますが、子どもが外で遊んでいる最中に、何回も電話をして確認するのは正しい距離感とはいえないでしょう。

子どもを危険から守ってあげたいという気持ちゆえの行動でしょうが、それをすると子どもが精神的な自由度を失ってしまうのは明らかです。

子どもの部屋に無断で入る親御さんもいますが、それを平気でされると、子どもとしては、家どころか自分の部屋でも安心、安全の場所になりません。これがエスカレートすると、勝手に机の引き出しをあけたり、スマホを見たりし始めます。こうなると完全に毒親です。

子どもの部屋に入るときは、その理由を伝えて、子どもの許可を得てからにしましょう。毒親化を防ぐには、親子であってもその距離感を適切に保つことが大切なのです。

なぜそこまで親は子どもをコントロールしたくなるのでしょうか。もともと人間には、快適に過ごしたいという欲求があり、そのために環境をととのえています。そこに他人がいて、本来その他人はコントロールできないけれど、できたらすごく楽だし、快適に過ごせます。

そういう意味でコントロールしたいという欲求がありますが、理性や社会的なルールでできないことを理解しています。ただ心の奥底に不安や生きづらさ、居心地の悪さがあると、その欲求が強くなってしまうのです。

ですから子育ても不安感が強い人ほど、子どもをコントロールしたくなるわけです。特に子育ては、世間の目やルールが親の期待をつくっているところもあるので、そのとおりにいかないとよけいに不安になります。そうすると子どものための子育てではなく、親のための子育てになってしまうのです。

しかし子どもであっても、他人をコントロールすることはできません。それなのに親は、どこかで子どもなんて経済力もないし、身体能力も生活力もなければ、なんとか思いどおりにできるんじゃないかと勘違いしている節があります。そういうちぐはぐさが毒親化を加速させるのではないかと懸念しています。

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