育児がこうもしんどい理由は「不安」を抱えるから 育児は「逃げる」選択肢がほぼないという現実
子どもに対して無自覚にやっていることが、結果的に毒親のふるまいになっている可能性があることは、先にお伝えしてきました。毒親的なふるまいとしてよくあるのが、この3つです。
〇家事を完璧にやらないと気がすまない
〇世間的によいとされることは、どんどんとり入れたい
〇子どもがどこで何をしているかを把握しておきたい
まず1つ目の「家事を完璧にやらないと気がすまない」人。これは毒親の一歩手前です。例えば日常の料理も、冷凍食品を使ってはいけない、インスタント食品は出せない、絶対に手作りでなくてはダメと完璧主義に陥っている人は、いつかそれを育児にもあてはめて、子どもにも完璧を求めてしまいます。
たしかに育児は責任の重い仕事ですが、責任感が強すぎると完璧主義に陥ってしまいます。とにかく完璧主義の人は100点満点が基準です。どこまで達していないのか、何が足りないのか、と物ごとを減点方式でしか見られないので、子どものできたところでなく、できていないところにしか目がいかなくなってしまいます。
これもできていない、あれもできていない、と子どもを追い込むので、子どもはどんどん息苦しくなっていくのです。
マスト思考が子どもを追い詰める
特にこういう人は「ちゃんと子育てしなければならない」と、「ねばならない」思考にしばられているので、「正しい子育てはこうである」という自分の信念に、子どもを押し込んでしまうのです。本人からしたら、しつけであり、教育であるけれど、それはもう毒親がやっていることと同じなのです。
毒親化すると、自分自身がこういう思考に陥って、子どもが苦しんでいることに、なかなか気づけません。だからこそ、やはりどこかで立ち止まり、自分がそういうことをしていないか、子どもを追い詰めていないかと自問自答する時間が必要なのです。
子どもをよい学校に入れる、子どものルックスにこだわるなど、「世間的によいとされることは、どんどんとり入れたい」と考える人も、とても危険です。世間の評価=自分の評価ですから、わかりやすい見栄を張ってしまうのです。
これがどんどんエスカレートすると、子どもの意見や考えとは関係なく、世間的によいと思われる枠組みに子どもをどんどん押し込めていきます。こういう親は、背景に自分なりのコンプレックスを抱えている人が多いです。
例えば学歴コンプレックスのある人は、いい学校に行かせようとしますし、体形にコンプレックスをもっている人は、ルックスにすごく力を入れます。
これは私の患者さんであるY子さんという女子大学生の話ですが、親がなにやらおかしいことに気づいたのは、本人が摂食障害で病院に来たのがきっかけでした。私のところに初めて来たのが18歳のとき。身長が165㎝で体重が40㎏くらい。
摂食障害自体は、昔からずっと治療されていて、中学生のときは35㎏を切る体重になったこともあり、たまに入院しながら、だましだましやってきたそうです。
話を聞いてみると、親が体形に厳しく、見た目をすごく気にする人でした。Y子さんは、もともと50㎏くらいありましたが、親に何度も「太りすぎ」と言われてからYさんは、どんどん食べられなくなって摂食障害になってしまったのです。
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