個人投資家には調整局面のときこそ「仕込み場」 『会社四季報』で弱気企業の強気転換を先回り

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四季報では巻頭2ページに毎号「【見出し】ランキング」を掲載している。

自分が四季報編集長に就いた2012年から始めた企画だ。夏号の特徴の1つは、例年「反落」という見出しが多いこと。終わった前期が好調でも、今期は減益になりそうだと、慎重な業績見通しを発表する企業が実に多い。下方修正を嫌うため、期初は控えめにしておきたいという心理が働くのだ。

しかし、第1四半期、第2四半期と時間が経つにつれ、上方修正する企業数がじわり増加していく。下の写真は四季報2022年春号の【見出し】ランキングの抜粋だ。今から1年前の2021年夏号では「反落」という見出しが161社あり、2番目に多かった。しかしその後、秋号(9月発売)、新春号(12月発売)と進むにつれて、「反落」の数が減り、代わりに業績の上方修正を意味する「増額」や「上振れ」という見出しが増えてくる。

第1四半期や第2四半期で上方修正をすると、株価が急上昇することが多い。そうした上方修正をしそうな銘柄を先回りして探したい。どうするか。今期減益を予想する企業の多くは、その理由として、原材料や物流費の高騰、円安などを挙げている。確かに小麦や原油などの価格が上昇し、円安も進んだ。しかし、それはいつまでも続くわけではない。

株式市場の大好物は「サプライズ」

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OPEC(石油輸出国機構)の原油増産や、米国の天然ガス増産などが見えてくれば、エネルギー価格が下落に転じる可能性がある。ウクライナからの小麦輸出も再開するかもしれない。

原料の調達先を替えたり、代替原料にメドをつけたりする企業も出てくるだろう。このような変化が出てくれば、期初見通しどおりの減益にはならない。それを先回りして探すのだ。

弱気の理由は何か、その前提となる原油価格、小麦価格、為替などの水準はいくらか。多くの企業は高止まりを想定しているが、想定に反して下落すれば、減益幅が縮まったり増益に転じたりする企業が続出するはずなのだ。

株式市場の大好物は「サプライズ」だ。減益だった予想が一転増益になりそうといった180度の見通し転換に、株価は好反応する。減益要因がはっきりしている今期は、その前提となる原料価格などをチェックすることで、上方修正銘柄を先回り買いできる。

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