「階級意識がやたら強いのに合議」日本企業のナゾ 日本的な組織を変革するための3のアプローチ

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保守的な日本型組織の壁を突破するための、3つのアプローチ(写真:Sakosshu Taro/PIXTA)
これからの日本の成長のためには、外部との提携や、デジタル活用によって「自前主義」を脱すること、すなわち「脱・自前」が必要だと説く、デロイト トーマツ グループ執行役の松江英夫氏。だが、「脱・自前」を進める際に立ちはだかるのが、保守的な日本型組織の壁。それを突破するための3つのアプローチを提言します。
※本稿は、松江英夫氏の著書『「脱・自前」の日本成長戦略』の一部を抜粋、再編集したものです。

ある研究によると、日本の組織は、ヒエラルキー(階層)に対する意識が高い一方で、意思決定は合議を重んじるという、世界的にもまれな傾向があるという指摘があります。

諸外国では、階層意識が強くトップダウン志向が強いか、階層意識が低くフラットで合議を重んじるか、どちらかに比重が置かれることが多い傾向があります。その点で日本は、ほかの海外諸国の組織特性とは異なる性質があることがうかがい知れます。

組織文化の研究の中で、日本は、ハイコンテクスト(暗黙知や以心伝心のように明示的に言語化されない中での意思疎通を図る)の文化的な素地が強いと言われます。ローコンテクストカルチャー(多言語、多人種、多文化の中で明示的に表現をすることが求められる)が強い海外の人々とのコミュニケーションにおいては、言語化や表現力の弱さが課題として指摘されます。

個人よりも集団志向

加えて、「日本的な組織」の特徴として、個人志向より集団志向が強いことが挙げられます。組織内における個人は、集団内のポジションや立場によって、もしくは周りとの距離感の中で、相対的に個人を位置づける発想が根付いています。

これらの性質は、組織としての団結力を強くする一方で、集団としての同質性を重んじるあまり、個人の行動に対する許容度が限定され、創造性や変革に対する主体性を弱めてしまう懸念があります。また、あまりに集団志向が強いため、不祥事や失敗に対する責任が不明確になりがちです。

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