米国で銃乱射が「日常茶飯事」になりつつある異常 昨年は61件の乱射事件が発生し、103人が犠牲に

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テキサス州ウバルデで発生した事件では小学生19人を含む21人が銃の犠牲になった(写真:Meridith Kohut/The New York Times)

恐怖の繰り返しで感覚が麻痺する。わずか11日前にはニューヨーク州バッファローで銃乱射事件があり、人種的な動機に駆られた男がスーパーマーケットで10人を殺害。その翌日には頭に血の上った男がカリフォルニア州ラグナウッズの長老派教会で銃を乱射し、1人を殺害、5人を負傷させた。

そして今度はテキサス州のウバルデで、少なくとも19人の小学校2~4年生が銃の犠牲者となった。かつてなら普通には起こらないと考えられていた事件が、幾度となく繰り返されている。

コロンバインも霞むほどの事件

「これからも同じことが何度も繰り返されるというのが世の中の理解だろう」。2012年のサンディフック小学校銃乱射事件で6歳の息子ジェシー・ルイスを亡くしたニール・ヘスリンはそう話した。

積み重なる悲劇に対し、状況は何も変わらない。アメリカ国民の頭の中では、犠牲者の数字がエクセルシートのように並ぶだけ。ウバルデの事件も「小学校の銃撃事件としては史上2番目に多い死者数」といったように「史上何番目」という言葉でリスト化される事件の1つにすぎない。

こうした事件が起こるたびに思い起こされる過去の銃乱射事件も、その記憶は年を追うごとにぼやけていく。今回テキサス州ウバルデのロブ小学校で殺害されたのは教師2人を含める21人と、犠牲者数は 2018年にフロリダ州パークランドの高校で起きた銃乱射事件の17人を上回った。コネチカット州ニュータウンのサンディフック小学校で起きた2012年の事件の26人に次ぐ犠牲者数だ。

これが、現在のアメリカにおける銃乱射事件の殺戮レベルなのだ。

ニュータウン、パークランド、ウバルデの3つの学校銃撃事件の前では、1999年のコロンバイン高校銃乱射事件もかすんでしまう。当時は、国民にたいへんな衝撃を与える事件だったのだが。

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