スカイマーク、"主役不在会見"の一部始終 「西久保氏だけでなく、全取締役の責任だ」

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A330のリース契約締結が業績悪化の一因となった(撮影:尾形文繁)

――どのようなリストラを行う予定か?

不採算路線を縮小する。2月1日から1日当たりの便数を現状の152便から128便に減らす(水曜日のみ126便)。これにより月5000万円のコスト削減を想定している。役員報酬は昨年から削減しているが、さらなる削減を予定している。

ただ、従業員の雇用については必ず守る。安全に運航するためには、余裕を持った体制を整えておくことが重要だ。過去の反省として、従業員が疲弊し、安全面で問題が起きた。それによりイメージが悪化し、顧客離れが生じた面もある。債権者にも雇用の維持についてはご理解いただきたい。

A330の運航はコスト高で負担となっていたが、B737の1座席当たり運航コストは低く、価格競争力がある。2月からA330を運休すれば、営業利益の黒字化は可能だ。

――本日、現場で運航などのオペレーションに、混乱は生じているか。

まったく問題なく、通常通り運航している。機体のリース料や燃料費は前払いしており支障はない。お客様には引き続きお引き立てをお願いしたい。

第3極として生き残るのが使命

――西久保前社長はなぜこの場にいないのか。本人は経営責任についてどう考えているのか。

西久保氏は昨日、取締役を退任した。所在については承知していない。本人は経営責任を痛感していて、昨日の取締役会では自ら辞任を申し出た。だが、 西久保氏は当社の経営が厳しい時に私財を投じて当社に出資し、会社を立て直した貢献もある。責任は西久保氏一人に帰するものではなく、われわれを含む取締役全員が負っている。

――このような事態を招いた旧取締役の2人(井手氏、有森氏)が、それぞれ新しく会長、社長となって、再建が果たせるとは思えない。

西久保氏を含め3人とも辞めるという選択肢はあった。しかし、責任の取り方として、再建の道筋をつけるという方法もある。今回、西久保氏は退任し、2人は会社に残るのが最善だと判断した。われわれの役割は再建の道筋をつけてから、後継にバトンタッチすることだ。

――LCCの台頭で、スカイマークの低価格路線は、武器にならなくなっているのではないか。第3極にこだわる意味があるのか。

LCCとは同じ路線で競合しているわけではない。当社が保有している羽田発着の36枠はドル箱で、これをANAとJALで分け合うと、寡占化され運賃が上昇するだろう。2社とも内心ではスカイマークがなくなればいいと思っているはずだ。しかし、利用者の皆様にとって、はたしてそれがよいのか。スカイマークの存在意義はあるはずで、利用者にはそれを認めていただき、必ず生き残る。それが使命だと考えている。

藤尾 明彦 東洋経済 記者

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ふじお あきひこ / Akihiko Fujio

『週刊東洋経済』、『会社四季報オンライン』、『会社四季報』等の編集を経て、現在『東洋経済オンライン』編集部。健康オタクでランニングが趣味。心身統一合気道初段。

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