性的マイノリティと共に生きる、新宿の牧師 毎週日曜日は、会議室が教会に早変わり

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キリスト教の世界のジェンダー秩序には疑問も感じており、新しいアイデアがいろいろとある。たとえば、信徒は女性が多いのに、教会の役員は男性が圧倒的多数であること。

「牧師も神父も男性ばかりです。これは社会状況の反映だと思いますが、教会と社会、どちらが先に変われるか、と考えています」

自分はあくまでも男性だから、女性の気持ちは想像するしかない。だから、将来「新宿コミュニティー教会にはレズビアンの牧師にも協力してほしい」と願っている。

新宿コミュニティー教会には、既成の教会のありように疑問を覚えるクリスチャンが、横浜、埼玉、千葉からも集まってくる。その中のひとりの女性は、当初、牧師が同性愛だと知らなかったと言っていたが、今では毎年一緒に性的マイノリティのパレードにも参加し、人々に温かい言葉をかけている。「出会いによって人は変わります。そういう様子を見るのは本当に楽しいです」。

 筆者も、カップルの多様なありようが社会的・法的に認知され、保障されるようになることを、願ってやまない。異性愛の法律婚カップルだけが認められる社会は、もうそろそろ、卒業しませんか。
 

治部 れんげ ジャーナリスト

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じぶ れんげ / Renge Jibu

東京工業大学リベラルアーツ研究教育院准教授。日経BP社、ミシガン大学フルブライト客員研究員などを経て2021年4月より現職。内閣府男女共同参画計画実行・監視専門調査会委員、日本ユネスコ国内委員会委員、日本メディア学会ジェンダー研究部会長、など。一橋大学法学部卒、同大学経営学修士課程修了。著書に『稼ぐ妻 育てる夫』(勁草書房)、『炎上しない企業情報発信』(日本経済新聞出版社)、『「男女格差後進国」の衝撃』(小学館)、『ジェンダーで見るヒットドラマ―韓国、日本、アメリカ、欧州』(光文社)、『きめつけないで! 「女らしさ」「男らしさ」』1~3巻(汐文社)等。

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