100人の村で考える「モテ期は3回」が意味するもの 中央値と平均値を知る事で見える世界が変わる

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つまり、中央値にあたる「戦闘力7」の戦士は、「5人の中で真ん中くらいに強い戦士」となります。戦闘力の異なる5人の戦士の間で強さ比べをするとき、中央値が感覚的な実情に近いことになります。

突然ですが、「30代の単身世帯における貯蓄額は327万円です」と言われると、あなたはどう感じるでしょうか。

日本銀行情報サービス局の金融広報中央委員会が発表した「家計の金融行動に関する世論調査」を見ると、30代単身世帯の貯蓄額の詳細は次のようになっています。

0円:31.1%
1円〜100万円未満:19.9%
100万〜500万:24%
500〜1000万:12.1%
1000万円以上:9.1%

この調査によると、貯蓄額100万円未満の人が51%いるわけですから、327万円という数値から得られる印象からは遠くなると思います。

こういったときにも中央値に目を向けることで、視点はガラッと変わるはずです。

中央値だけ見ればいいわけでもない

先ほどの貯蓄額と同じように、お金にまつわるデータは平均値で観測されるものが多く存在します。ですが、ここで闇雲に「平均値は見ずに、中央値だけを見ればいいのか」と決めつけてはいけません。

では続いて、全世帯の平均所得の推移を見てみましょう。

厚生労働省が発表した「2019年国民生活基礎調査」によれば、全世帯の平均所得は552万円、中央値は437万円です。

時を遡り、同資料によれば、1994年の全世帯平均所得は664万円、中央値は545万円でした。つまり、平均値で見ても、中央値で見ても、所得は25年前と比べて100万円前後下がっていることがわかります。

25年前といえば、『ポケットモンスター』が放送開始され、『タイタニック』が大ヒットし、トヨタ自動車からは初代プリウスが発売され、大阪ドームや東京湾アクアラインが完成した時代でした。

いや、そんな悠長なことは言っていられません。この2つの調査から、日本経済全体がみんな等しく貧しくなっていることが見えてくるのです。

さらに新型コロナ禍の打撃、少子化による生産年齢人口の減少、消費税の引き上げ、円安傾向もあり、輸入に頼ることで原材料も上がっています。つまり、「人手が足りず忙しいけど、給料は上がらず、iPhoneやマクドナルドの値段は上がり、海外旅行できたとしても物価が高い」といった経済感覚になるわけです。

この感覚は中央値だけを見ていては、「一部の富裕層の所得が増えたことで、中央値が変わっただけでは」といったように解釈してしまう可能性もあるのです。

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