「若い世代のがん在宅医療」費用はどれくらいか? 介護サービスや福祉用具は39歳まで10割負担

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食事や入浴の身体介護、調理や掃除、洗濯といった生活援助を行う訪問介護サービスが、介護保険と同じぐらいの負担額で利用できることは、AYA世代を含む若い世代の在宅ケアのハードルを大きく下げることにつながるはずです。

では、入院した場合にはいくらかかるのでしょうか。前出のAさんを例に考えてみましょう。

入院と在宅医療の費用負担は変わらない

入院も在宅医療と同様に、医療費の自己負担額は3割で、医療費の負担に関しては大きな差がありません。ただ、緩和ケアを行うための病棟(緩和ケア病棟)に入ると、治療内容にかかわらず医療費は全国一律で一定額に決められています。具体的な金額は入院期間や緩和ケア病棟の種別によっても変わりますが、自己負担額が3割とすると、入院30日以内の場合は1日につき約1万5000円、入院31日以上60日以内の場合は約1万4000円、61日以上の場合は約1万円がかかります。

こうみると高い費用負担が発生しているように見えますが、保険診療が適用される医療費は高額療養費制度の対象となるため、一定額を超えた費用は返金されます。

この一定額というのは、年齢や所得によって変わり、AYA世代を含む69歳以下の場合、年収が370万円未満だとひと月の医療費上限額が5万7600円、年収が約370万〜約770万円だと8万円程度、年収が約770万〜約1160万円だと17万円程度になります(過去1年以内の医療費負担額によっては、さらに軽減できることもあるため、詳しくはお住まいの自治体にお問い合わせください)。

ただし、高額療養費制度は差額ベッド代(少人数部屋や個室などを希望する場合に、一般病棟との差額として発生する費用)や食事代、入院着レンタル代などは対象外となります。先にご説明したAさんの在宅医療にかかった金額を踏まえても、入院のほうが格段に安いわけではないのです。

移動中の車内でカルテに入力する中村医師(写真:著者提供)

在宅療養を望んだ場合、どうやって在宅医を探せばよいのでしょうか。

まずは病院の退院支援窓口や地域連携室や、今通っている診療所の医師に相談してみることをおすすめします。在宅医療に対応できる診療所の数や質には地域差がありますが、AYA世代の場合には、病院の紹介で在宅ケアに移行するケースがほとんどです。

選ぶときの1つの基準となるのが、「在宅療養支援診療所」として認可されているかどうか。がん終末期の患者さんの在宅医を探す際は、緩和ケアに強い「在宅緩和ケア充実診療所」に依頼することをおすすめします。

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