頼られる人が知る「見守る」「干渉する」のバランス 元ラグビー日本代表キャプテンが極意を明かす
干渉しないで見つめるのか、それとも関わるのかは、相手によっても変わってきます。経験豊富なベテランなら、基本的に任せます。毎日のあいさつに織り交ぜて、「最近どう?」と聞くことや普段からよく観察して、精神状態についても情報が入るように心がけていました。問題があっても自分から相談してくるとは限らないのでちょっとした変化を見抜くことは重要です。
経験の少ない若手とか、その役割を担うのが初めての人には、もう少し手厚く声をかけますね。「何か困ったことはない?」とか、「こっちにできることがあればサポートするよ」といった感じです。
決して答えは出さない。これだけは大事にしています。自分の考えを聞かれたらある程度は言いますが、断言はしません。
最終的にうまくいかなかったとしても、結果責任をすべて担当者に押しつけたりはしません。誰に任せるかを決めた自分やリーダーにも、当然ながら責任があります。
チームは家族ですから、失敗はみんなのものとして受け止めて、みんなで改善していき、それぞれの立場で再びベストを尽くすのみです。
誰かに怒られたときの受け止めかた
日本代表のキャプテンを任されていた当時、ヘッドコーチのエディー・ジョーンズさんに激怒されたことが何度もあります。選手が独自にチームの方針にそぐわないサインプレーを考えたときには、「許せない」と怒りを爆発させられました。
僕ら選手からすると、チームが勝つためにと思っての行動だったのですが、順番を間違えてしまったのは事実です。辛辣な言葉を浴びて、しばらく口をきいてもらえませんでした。最終的にはエディーさんも「ちょっと言いすぎた」とおっしゃってくれたのですが、かなりキツかった思い出があります。
エディーさんと僕のようなケースほどではなくても、上司や先輩、あるいは同僚に怒られるという経験は、例外的なものではないでしょう。年齢を重ねると怒られる機会が減っていくので、誰かの怒りに触れると戸惑ったりすることもあります。両親や学校の先生に小言を言われていた子どもの頃とは、怒られることに対する受け止めかたが変わってきますよね。
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