名門・開成、前理事長が語るグローバル人材育成 大人は子どもに「世界」をどう教えるべきか

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丹呉泰健(たんご やすたけ)/1951年東京都生まれ。東大法学部卒業後、大蔵省入省。首相秘書官、主計局長、財務事務次官を歴任。退官後は内閣官房参与やJT取締役会長、開成学園理事長を務めた。開成高校OBの政治家と国家公務員が集う「永霞会」(会長・岸田首相)の副会長も務める(写真:田中孝幸)

田中:開成高校は近年、海外の一流大に進学する人が増えていますが、どのように後押ししたのでしょうか。

丹呉:それは柳沢幸雄前校長の時代から進めていることですが、率直に言うとかなりの部分、(ユニクロを運営するファーストリテイリング会長兼社長の)柳井正さんのおかげです。例えばアメリカの一流大に進学すると私立だから学費で6万ドル、生活費2万ドルで、年間で計1000万円近くもかかります。入学して活躍すればいろいろな奨学金を得られる機会があっても、入学のときにはなかなか奨学金をもらえません。その奨学金を柳井さんの財団が出してくれて、本当に多くの学生が助けられました。

ただ、民間の奨学金だけでなく、入学が許可された優秀な学生のために明治時代にあったような国費留学生という制度をつくってもいいと思います。それができるかは、文部科学省の予算の配分で何を重視するかの問題です。

国費留学制度創設を

田中:先ほどの大学1~2年の教育のあり方にも関わることですが、そうした教育改革はどうすれば進むのでしょうか。

丹呉:結局は、政治がやるしかないですね。東大や京大の総長経験者と教育改革について議論した際にも、彼らは「丹呉さんの言う通りだけど、大学の内部から変えろと求められても無理です。学者は現状維持派が多くて、学長にもそういう改革をやる権限はない」と言うんですね。

ただ、政治による教育改革と言っても、これは(丹呉氏が首相秘書官として仕えた)小泉元総理が言っていたことですが、法律でぎしぎし縛ればいい人材ができるわけでもないという面もあります。いずれにしても、これから人材育成というのは何よりも大事なことですが、グローバルな競争という面では音楽やスポーツに比べて、永田町、霞が関、経団連は遅れているのは否めません。人材を育てるために、さまざまな分野で先生も生徒も多国籍で切磋琢磨する場所を増やすべきです。

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