「電動キックボード」の不安が拭えぬ2つの法解釈 「免許不要」「ヘルメット任意」に混乱が生じた訳

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手軽な移動手段として注目される「電動キックボード」のルールで混乱が生じている(写真:maroke / PIXTA)

なぜ、このタイミングで「電動キックボード」の規制緩和が行われるのか。しかも、一定の条件を満たす機種では、16歳以上であれば運転免許不要でヘルメット着用は任意、さらに歩道も走れることになるという。

衆議院で2022年4月19日、道路交通法の一部を改正する法律案が可決され、その中で「特定小型原動機付自転車」という新たな乗り物が車両区分として認められた。特定小型原動機付自転車は、同改正においていわゆる電動キックボードを主に想定したものだ。施行は2024年夏頃までを目途としている。

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「電動キックボードが免許不要になる」といった話は、同改正に向けた国の動きが表面化した2021年後半頃からさまざまなメディアが取り上げるようになり、巷では電動キックボードの在り方について賛否両論があるように思う。

賛成意見として多く見受けられるのは、「街中の移動で自転車より疲れない」「観光地でのチョイ乗りに向いている」「ベンチャー企業にとって新しいビジネスチャンスになる」「SDGsに貢献できる」といったもの。

一方、反対意見としては「ほかの交通と混在することで、道路上での危険が増す」「免許不要では交通に対するモラルが守られないのではないか」「違法駐車が増えるのではないか」といったものが多い印象だ。

手軽に利用できるだけにルールやマナーが問われている(写真:Dragon Images / PIXTA)

筆者は、これまでに新しい種類の小型移動体として、電動キックボード、小型自動走行ロボット、さらには低空域を飛行するドローンも含めて、世界各地のハードウエア製造者やサービス事業者、または国や地方自治体へ取材を定常的に行ってきた。

日本では電動車いす、および電動キックボードを個人所有して実際に公道等で走行することで、それらの使い勝手を確認し、また産学官とさまざまな会合等で小型移動体の在り方について意見交換を進めてきた。

こうした活動や経験を踏まえ、今回の電動キックボードに対する規制緩和を改めて考えてみたい。

ESG投資の視点での「出遅れ感」

電動キックボードの規制緩和の背景にはいくつもの理由があるが、中でも2つの観点が注目されている。

1つは、「日本の産業競争力の強化」だ。海外事例では、ベンチャー企業による参入が多く、日本でもベンチャー育成の意味合いが強い。

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