日本企業は、相手のルールに順応しすぎ?

「ルールは自ら作る」という視点の重要性

経済連携協定が増えることによって、弁護士の使える国際法が広がるということです。加えて、日本の大手渉外事務所は、中国や東南アジアを中心に多くの海外拠点を有するに至っています。これも追い風になるのではないかと思います。

今まで日本企業のメンタリティは、相手国に順応するということに熱心でした。もちろんそれはマーケティングという点ではとても重要です。でも今のようにサプライチェーンが複雑になってくると、国ごとに違う安全基準に合わせて、その都度、製品仕様を変えたりと、ひたすら順応ばかりをしていると、今度は規模の経済を生かせなくなってしまう。

ですから地域ごとの違いはある程度尊重しつつも、やはり不合理な政策や法律で自社のビジネスが妨げられているのなら、それを是正させることはできないかと考えてみる必要がある。相手国の法律を丸飲みするのではなく、自分に不利な不合理なルールがあれば、それは変えられるかもしれない、という視点も持っておくといいと思います。

弁護士側も、法律を解説するだけでは足りない

弁護士も「この国の法律はこうなっています」と解説するだけでなく、「この不合理を是正するには、WTOのルールや経済連携協定が使えます」というアドバイスまできちんとする。それがこれからの国際的な弁護士の大きな役割になるのではないでしょうか。

日本企業がこれら新興国の成長を取り込んでいこうとする動きが活発化する中で、日本の弁護士も日本に閉じこもって日本法の議論をしているだけでは、貢献できることが少なくなるのではないかと危惧します。

日本の弁護士の成長は、中長期的には、こうした新興国プラクティスでどれだけ日本の弁護士が付加価値を出せるかにもかかっていると思います。戦略的法務感覚をもって、行政官やロビイストとともに日本企業を支援することは、その重要な一部になるのではないかと考えています。

桑島日本企業に技術力などの強みがあるとき、その強みを最大限に生かせるようなルール形成を働きかけることも、企業価値を高める方法だということですね。技術力を高めるとか、コストダウンを図るとか、そういうこと以外にも利益に結び付く効果的な方法はある。このことはぜひ、企業のトップの方に理解していただきたいと思います。

藤井さん、今日はどうもありがとうございました。

(構成:長山清子)

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