イノベーターはどっち?スタバとハーゲンダッツ 「なぜ日本でiPhone生まれない?」議論の問題点

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しかし、実はiPodはアップルオリジナルではなく、MP3プレイヤーを韓国メーカーが先に出している。

ところが後発のiPodがなぜイノベーションを起こせたのかと言えば、それはiTunesという音楽を管理&視聴するアプリとiTunes Music Store( 現iTunes Store)という音楽販売ストアをハードとセットにして、それらを利用して音楽を聴く習慣を変えたことが要因である。

油揚げをさらったものがイノベーター

東京大学工学部卒業。慶應義塾大学大学院経営学修士(MBA)。2000年6月から2004年12月までBCG日本代表。2006年には「世界の有力コンサルタント25人」(米コンサルティング・マガジン)に選出された。2006年より2022年3月まで早稲田大学教授。2022年5月25日にトークイベントを予定している。 詳細はこちら(写真:筆者提供)

MP3プレイヤーでは自分のCD音源をMP3化するか、他人がMP3化した音楽を自由にダウンロードできたことで人気を博した。前者は合法だったのに対して、後者は著作権侵害ということでアメリカの音楽著作権団体(RIAA)から厳しく排斥された。

それを横目で見ていたアップルはレコード会社に対して、うちのiTunes Music Storeを使用すれば、1曲ごとに料金を回収できますよとアピールした。一方でユーザーに対しては、ウォークマンやディスクマンのように外出するたびに自分のお気に入りを選んで持ち出す手間が省けて、すべてのライブラリーを持ち運べますと訴求した。

簡単に言えば音楽を手軽に持ち運べるMP3プレイヤーは画期的な新製品だったが、それをビジネスとして成り立たせる仕組みが不在だったためにアップルにイノベーションの刈り取りを許してしまったということになる。

トンビに油揚げをさらわれるという格言があるが、油揚げをさらったものがイノベーターである。

内田 和成 東京女子大学特別客員教授、早稲田大学名誉教授

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うちだ かずなり / Kazunari Uchida

東京大学工学部卒業。慶應義塾大学大学院経営管理研究科修了(MBA)。日本航空株式会社を経て、ボストン コンサルティング グループ(BCG)入社。2000 年から2004年までBCG日本代表を務める。2006年度には「世界の有力コンサルタント25人」に選出。
2006年から2022年3月まで早稲田大学教授。早稲田大学ビジネススクールでは意思決定論、競争戦略論、リーダーシップ論を教えるかたわら、エグゼクティブプログラムにも力を入れる。
主な著書に、『仮説思考』『論点思考』『右脳思考』『イノベーションの競争戦略』(以上、東洋経済新報社)、『リーダーの戦い方』(日本経済新聞出版)、『アウトプット思考』(PHP研究所)、『できるリーダーが意思決定の前に考えること』(日経ビジネス人文庫)など、ベストセラー・ロングセラーが多数ある。

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