イノベーターはどっち?スタバとハーゲンダッツ 「なぜ日本でiPhone生まれない?」議論の問題点
例えば、iPhone登場前の携帯電話は通話が主目的で、インターネット接続に関してはメール、音楽、天気予報、簡単なゲームなどが主たる用途だった。そこでの主役はNTTドコモなどの携帯電話会社であり、ハードメーカーもアプリケーション開発者も従であった。そのため、アクセスは増え、従量課金は伸びたかもしれないが、消費者にとっては便利な電話という域を出ることはなかった。
それに対して、iPhoneではメールやインターネットのウェブ利用はもちろんのこと、スケジュール管理、PC用のオフィスソフトの利用、カメラの代わり、テレビ会議など次々に用途を広げ、1台で何でも間に合うパーソナル機器としての地位を固めていった。
ヘビーユーザーになればなるほど、生活を支える手放せない存在に変わっていった。まさに消費者の行動を変えてしまったのである。
イノベーションを阻む真の阻害要因
日本発でも、非接触通信の仕組みとしてのFeliCa(フェリカ、ソニー開発)がある。大変優れた技術であり、JR東日本のSuicaなどにも採用されている。ソニー自身もこの技術を用いてEdyという電子マネーをサービス化し、かなり普及に努力したが残念ながら、日本の電子マネーのデファクトになれず、世界標準からもほど遠かった。
技術は大変優れていたし、電子マネーというアプリケーションも十分魅力的だった。しかしながら、2つの問題点があった。
1つは、電子マネーによる決済のために専用端末を必要とし、そのコスト負担ができる小売店は大手やチェーン店などに限られていたことが普及の壁になった。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら