イノベーターはどっち?スタバとハーゲンダッツ 「なぜ日本でiPhone生まれない?」議論の問題点

著者フォロー
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

縮小

リポビタンDに学んだレッドブルは、あの手この手のプロモーションを通じて、リポビタンDが40代以上のサラリーマンの元気回復ドリンクだったのに対して、レッドブルを若者がスポーツやパーティに出かける前のエナジーチャージドリンクとして定着させた。そういう意味で、後出しでもよいし、みっともないくらいベタでもよいから、顧客の行動が変わるまでやり続けることがイノベーションの大事な要素であると言える。

その点において日本企業は、やり続けることがカギであるという意識が薄い、あるいは重要視していないと言える。多くの日本企業はイノベーションというのは新しい製品やサービスを生み出すことであり、そのためにはどんな方法論をとるべきか、プロセスを採用すべきか、組織やチームづくりはどうすべきか、評価をどうするべきかという議論に終始している。

習慣や行動を変えることの重要性

例えば、日本からかつてはウォークマンのような世界中の消費者の音楽習慣を変えた画期的な製品が生まれたのに、最近はなぜiPhoneが生まれないのかといった発想から議論が展開される。

しかし、今回我々が研究会でいろいろなイノベーションの事例を1000件近く調べた結果の結論は、課題はそこではないということである。

ウォークマンが商品として偉大なのは、これまで音楽は持ち運べないために自宅なり、車なりで聴くしかなく、決まった場所でしか楽しめないという生活を一変させたことにある。出先で楽しむのはもちろんのこと、移動時間やすき間時間に好きな音楽を聴くことができるようになった、すなわち音楽を聴く習慣を変えたことにある。

次ページiPhone登場前と登場後
関連記事
トピックボードAD
ビジネスの人気記事