妻がもらえる「遺族年金」の条件、知ってますか 女性の7割が90歳、2割が100歳まで生きる現実
例えば、会社員の夫が亡くなった場合、妻が夫に生計を維持されていたら、年齢には関係なく、妻は再婚しない限り、終身で受給できます。ただし、30歳未満で子のいない若い妻は、夫の死亡時から5年間しか受給できません。
一方、会社員の妻が亡くなった場合、55歳未満の夫は、遺族厚生年金を受け取れず、55歳以上なら60歳から受給できます。夫が遺族基礎年金を受給する場合、55歳未満で受け取れますが、その際は、夫が遺族基礎年金を、子が遺族厚生年金を受給する仕組みです。
「じゃあ、子どもが高校を卒業したら、妻が受け取れるのは、遺族厚生年金だけになるってことですか?」(高木君)
子どもが成長し、遺族基礎年金がなくなり生活が困窮するのを防ぐため、40歳以上の妻には、遺族厚生年金に「中高齢寡婦加算」が加算されます。末子が18歳の年度末を過ぎたときに40歳以上か、夫を亡くしたとき子のいない40歳以上の妻が、65歳まで受給できます。
加算額は、老齢基礎年金の満額の4分の3である、年58万3400円(2022年度)です。妻が65歳になると、自身の老齢基礎年金を受給できるため、中高齢寡婦加算はなくなります。
結局、民間の保険は必要か、必要でないか
「なるほど。遺族年金が受け取れるのは助かりますね。で、結局いくら、民間の生命保険に入ればいいんですか」(高木君)
保険金額の考え方をお伝えしますね。夫の死亡後は妻も働くでしょうから、子どもとの2人の生活費の不足分と、子どもの教育費をどのくらいかけたいかを考えます。
高校までは、国の「高等学校等就学支援金」などの制度がありますので、授業料は実質無償化になっています。考えなくてはならないのは、主に大学資金ということになるでしょう。入学金を含む大学4年間の学費は、国公立で約450万円、私立文系で約660万円、理系だと約780万円と、進路によってさまざまです(日本政策金融公庫「2021年度教育費負担の実態調査結果」より筆者が算出)。
必要になる生活費や教育費の合計額から、受け取れる遺族年金と貯蓄や収入を引いて、必要になる保障額(=保険金額)を決めます。あくまで万が一のために入る保険ですから、”必要最低限の保障をなるべく安い保険料”で持ちます。ネットの生命保険会社では、保険料の試算ができるので、自分の事情を考慮して、シミュレーションしてみてください。
豊かで安心した生活を送るためには、自分の必要貯蓄額を堅実に貯めて増やしていくことです。今の収入は、現在の生活費を賄うと同時に、将来の自分を支えるお金ですので、一定割合を貯蓄していく必要があるのです。いくら貯めていかなければならないかは人それぞれですので、まずは、自分の必要な貯蓄額を求めましょう。
資産運用の仕組みをつくり、お金も増やしながら、自分自身も、なるべく収入を上げてなるべく長く働き、将来受け取れる公的年金額を増やすことが大切です。ある程度の資産ができれば、民間の保険は卒業してもかまいません。
これら保険や年金については、拙著『結局、老後2000万円問題ってどうなったんですか?』においても触れています。人生100年時代の安心と豊かさは、「公的年金を増やす」と「自助努力の資産形成」は両輪で実行することで作れるのです。
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